ジョン・ヘンリー・ウィグモア

ジョン・ヘンリー・ウィグモアは、1863年3月4日、カリフォルニア州サンフランシスコに生まれ、1943年4月20日に亡くなったアメリカを代表する法学者の一人です。その専門は証拠法であり、彼の業績は現代の司法制度に多大な影響を与え続けています。

ウィグモアはハーバード大学で学び、1883年に学士号、1884年に修士号、1887年には法学博士号を取得しました。卒業後はボストンで2年間弁護士として活動した後、日本に渡り、慶應義塾大学でアメリカ法の教授を務めました。これは、慶應義塾大学法学部設立に大きく貢献した重要な活動でした。慶應義塾では比較法や日本法、特に江戸時代の法を研究し、その成果を論文や著作として発表しました。日本の法制度理解に貢献したと言えるでしょう。

1893年には、アメリカに戻り、ノースウェスタン大学法学部に招聘され、1901年から1929年にかけて同大学法学部長を務めました。学部長としての在任期間は長く、法学部発展に大きく寄与したことは間違いありません。

彼の活動は大学教授の職務にとどまりませんでした。アメリカ大学教授協会の会長、米国法曹協会の有力会員、国際比較法部会の初代座長などを歴任し、アメリカ法曹界における指導的な役割を担いました。また、1909年には、刑法学および犯罪学に関する国内会議を組織し、アメリカ刑法学犯罪学会の設立にも携わっています。その活動は、刑事法分野の発展にも貢献するものでした。

さらに、ノースウェスタン大学の航空法研究所やシカゴの科学捜査研究所の設立にも参画するなど、幅広い分野で活躍しました。全米統一州法委員会全国会議や全米統一州法委員会イリノイ州会議にも参加し、州法の統一化にも尽力していました。

ウィグモアの名声を不動のものとしたのは、1904年に出版された『A Treatise on the Anglo-American System of Evidence in Trials at Common Law』（邦題は『ウィグモアの証拠法』）です。この著作は、証拠法に関する膨大な知識と鋭い分析に基づき、当時のAnglo-American法体系における証拠法のあり方を包括的に論じたものです。緻密な構成と明快な記述で高く評価され、現在でもアメリカの多くの裁判所で重要な参考文献として利用されています。コロンビア特別区連邦地方裁判所をはじめ、アメリカ連邦裁判所の判例に大きな影響を与えていることは周知の事実です。さらに、その影響は日本にも及んでおり、日本の刑事手続にも少なからず影響を与えているとされています。

このように、ジョン・ヘンリー・ウィグモアは、アメリカにおける法学、特に証拠法の発展に多大な貢献をした、重要な人物と言えるでしょう。彼の業績は、現代の司法制度に今もなお影響を与え続けています。彼の研究は、法学の歴史における金字塔として、後世に語り継がれるべきものです。

もう一度検索