ジョン・マギー

ジョン・ギレスピー・マギーの経歴と南京事件における証言

ジョン・ギレスピー・マギー（1884年 – 1956年）は、米国聖公会の牧師として、アメリカ合衆国で生まれました。ペンシルベニア州ピッツバーグで育ち、イェール大学を卒業した後、マサチューセッツ州の神学校へ進学しました。1912年から1940年までの28年間を中華民国で過ごし、米国聖公会伝道団の一員として、南京下関地区で教会を運営する傍ら、キリスト教布教や医療活動を行いました。

マギーは、その活動を通じて国際赤十字委員会のメンバーとしても機能し、南京占領中は国際委員会に参加し、避難民を保護しました。彼自身が記録した証言や映像は後の南京事件の証拠として評価されました。

南京事件における証言

マギーは1946年に行われた極東国際軍事裁判で証人として登場し、南京事件に関する証言を行いました。彼の証言は日本軍による非人道的な行為、具体的には殺人や強姦、略奪に関するもので、いくつかの具体的な事件について目撃した事実に基づいています。彼は多くの犠牲者からの証言を集め、実際に自らの調査を行った結果を基に証言を行いました。

実際に目撃した事件

マギーは、自身の雇用していた料理人が日本兵によって約100人の中国人とともに連行される光景を目撃しました。この料理人は絡みつく縄から逃げ出し、辛くも生き延びました。また、彼は難民収容所で、日本軍が無辜の市民を拉致して機関銃で虐殺する現場を目撃したと主張しています。

存在する証拠映像

加えて、マギーは南京事件に関する映像記録も残しており、これらは「マギーフィルム」として知られています。このフィルムには、戦闘や惨劇の様子が映し出されており、多くは南京難民地区内で撮影されたものです。しかし、その映像はすべての暴行の証拠としての価値が問われており、具体的に何が起きたのかの明確な証拠は不足していると指摘されています。

証言の信憑性と論争

マギーの証言は後の議論を引き起こしました。彼の証言が伝聞によるものであったか、実際に目撃したものであったかについて、法廷での反対尋問で明らかにされました。弁護士ブルックスによる質疑の中で、マギーは「自分が実際に目撃した事件は一件だけ」と答え、他はすべて伝聞によるものだと認めざるを得ませんでした。これにより、彼の証言が政治的な意図を持っていたのかどうかが問われました。

評価と反論

一方で、彼の証言の中には有意義な側面もあり、実際に多くの被害者の声を届ける役割を果たしたと評価されることもあります。マギーの証言が後に大虐殺神話とされる一因となったことについては、賛否が巻き起こりました。彼の証言がどれほどの信憑性を持つかについては、さまざまな見解が存在し、事件に対する理解を深める鍵ともなっています。

結論

ジョン・ギレスピー・マギーは、その活動を通じて南京事件の詳細を記録し、証言しました。彼の証拠は、戦争における非道な行為の重要な証拠として、また歴史的視点からの理解を深める資源として、今なお歴史家や研究者の間で重要視されています。マギーの記録や証言は、ただの悲劇を伝えるものであるだけでなく、戦争の悲惨さを嵌め込んだ複雑な歴史の一部として残っています。

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