ジョン・マクレーン (架空の人物)

ジョン・マクレーン：不死身のニューヨーク市警刑事

ジョン・マクレーンは、映画『ダイ・ハード』シリーズの主人公として世界的に知られる架空の人物です。ブルース・ウィリスが演じる、ニューヨーク市警の刑事である彼は、数々の危機的状況に遭遇しながらも、その卓越した機転とたくましさで難局を乗り越える姿が多くの観客を魅了してきました。

人物像：口が悪く、不運な男

マクレーンは、口の悪いジョークを飛ばし、しばしば自嘲気味に自身の不運を嘆く、人間味あふれるキャラクターです。「世界一ついてない男」と揶揄されるほど、大きな事件に次々と巻き込まれていきます。さらに、シリーズ全5作中、第3作を除くすべてで、彼の家族までもが危険に晒されるという、彼自身の不幸ぶりが際立ちます。

彼はロデリック・ソープの小説『Nothing Lasts Forever』の探偵ジョー・リーランドや、ウォルター・ウェイジャーの小説『ケネディ空港着陸不能』のフランク・マローンといったキャラクター、そして映画『ダーティハリー』の主人公の影響を受けて創造されたと言われています。

私生活では離婚の危機に瀕しており、自警主義的な一面を持ち、権力と戦う意思を強く持っています。また、ヘビースモーカーであることも特徴の一つです。第3作ではアルコール依存症寸前にまで陥り、「人間をやめる2歩手前だ」と言われた際、「1歩だ」と冗談めかして答えるなど、ユーモラスな面も持ち合わせています。

戦闘能力と武器：高い知識と荒いファイトスタイル

彼は武器や爆薬に関する深い知識を持ち、シリーズを通して様々な銃器を自在に操ります。第1作では、プラスチック爆薬に電気信管を大量に接続し、パソコンのブラウン管と椅子に挟み込んで高所から落として起爆させるという、創意工夫に富んだ作戦を展開しました。また、第2作ではテロリストが使用していた拳銃の最新型を見抜き、空港警察に警告するなど、洞察力も鋭い人物です。

彼のお気に入りの拳銃は、第1作から第3作まではベレッタ92、第4作ではSIG SAUER P220でした。第5作では休暇中の海外渡航だったため、拳銃を所持していませんでした。

一方、格闘術に関しては必ずしも得意とはいえず、相手を掴みかかって殴りかかる、あるいは周囲の物を武器として利用するなど、非常に荒っぽいファイトスタイルが特徴です。シリーズを通して、一対一の格闘戦では苦戦することが多く、有利な状況にあっても最終的には苦戦を強いられたり、逆襲を受けたりする場面が多く見られます。

各作品における活躍：クリスマス・イヴ、空港、ニューヨーク、独立記念日…

第1作『ダイ・ハード』では、クリスマス・イヴに妻の勤務先であるナカトミ・プラザで発生したテロ事件に遭遇。単身でテロリストと戦い、人質を救出します。

第2作『ダイ・ハード2』では、クリスマス・イヴにダレス国際空港で起こったテロ事件に遭遇。再びテロリストに立ち向かい、危機を回避します。

第3作『ダイ・ハード3』では、ニューヨークに戻り、停職中に「サイモン」と名乗るテロリストの脅迫に巻き込まれ、街を救うため奔走します。

第4作『ダイ・ハード4.0』では、独立記念日に国内インフラを狙うテロリストの陰謀を阻止します。

第5作『ダイ・ハード/ラスト・デイ』では、息子ジャックが巻き込まれた事件に介入し、ロシアを舞台に活躍します。

家族：妻ホリー、娘ルーシー、息子ジャック

マクレーンは妻ホリー、娘ルーシー、息子ジャックと複雑な家族関係を持っています。ホリーとは離婚しており、子供たちとの関係も時にぎくしゃくするものの、事件を通して絆を深めていきます。

決め台詞：「イッピカイエー、くそったれ！」

マクレーンは「Yippee-ki-yay, motherfucker.」という決め台詞で知られています。日本語吹き替え版では「イッピカイエー、くそったれ！」と訳されており、シリーズを通して彼のキャラクターを象徴する言葉となっています。

評価とその後：伝説のキャラクター

マクレーンは、「エンパイア」誌の「100人の最も偉大な映画キャラクター」に選ばれるなど、高い評価を得ています。シリーズは2013年に続編が計画されていましたが、2022年にブルース・ウィリスが俳優業を引退したことで事実上終了しました。しかし、彼の活躍は多くの映画ファンに語り継がれ続けるでしょう。

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