ジョン・メルトン・ブラック

ジョン・メルトン・ブラックについて

ジョン・メルトン・ブラック（1830年 – 1919年）は、オーストラリアのクイーンズランド州タウンズビルの開拓者として重要な役割を果たした人物です。彼はクリーブランド湾での港湾建設に尽力し、タウンズビルの町の発展に貢献しました。また、タウンズビル市の市長を2期務め、市の基盤を築くために貢献しました。

生い立ち

ブラックは1830年にスコットランドのエディンバラに外科医の息子として生まれました。成長するにつれて商人としての道を選び、ロンドンに移住しました。ロンドンではオーストラリアの金鉱に関する話を耳にし、彼の将来の方向性に影響を与えることとなります。

ビクトリア州での成功

オーストラリアに向かう決意を固めたブラックは、まずメルボルンに移住しました。そこで彼は金鉱業には手を出さず、運送業で成功を収めました。1855年には、メルボルンのバーク・ストリート北側にシアター・ロイヤルを開設し、3000人以上を収容するこの劇場は、『悪口学校 (The School for Scandal)』の初演で知られています。しかし、この壮麗な劇場の建設費用は6万ポンドに達し、結果的に彼は破産してしまいます。

クイーンズランドへの移住

新たな商機を求めたブラックは、クイーンズランド植民地に向かいます。W・A・ロス、C・S・ロウ、W・ロングショウといった仲間たちと共に、北部で農場を開くことを目指しました。1861年、彼らはボーエンに到達し、後のマクロッサン橋付近にファニング・ステーションを設立します。ブラックはバーデキン川を渡る際、羊と牛の群れを連れて行った最初の人物とされています。

1863年末には、より広い土地を取得しウッドストック・ステーションを開設しましたが、厳しい融資条件に耐えられず土地を手放すことになりました。その後、ブラックはロバート・タウンズの農場経営の総支配人に就任し、様々な大規模な土地の管理にあたりました。

タウンズビルの発展

タウンズビル市の発展はブラックにとって非常に重要な章でした。彼はクリーブランド湾での新たな港を建設し、タウンズビルの市街地開発に関与します。彼はタウンズビルの最初の埠頭の設置や土地の測量調査を行い、市の初期の建物の建設も監督しました。また、タウンズビルの最初の住宅の建設にも関わったとされています。

さらに、彼は株式投資家、商人、測量技術者、新聞の編集者としても活躍し、地域の精肉加工業の先駆者でもありました。タウンズビルの市長を2期務め、市の基盤作りに尽力しました。

後の人生と遺産

ブラックは1867年末にタウンズビルを離れますが、彼の出立は地域の人々によって惜しまれました。その感謝の気持ちを込めて、住民たちは彼に高価な黄金の盃を贈ります。その後、ブラックはシドニーを経てヨーロッパに戻り、旅をした後にロンドンに定住しました。印刷業を興した彼は、タウンズビルで出会ったマリオン・オダウズと結婚し、5人の息子と1人の娘に恵まれました。1919年に彼は89歳で他界しました。

ブラックの名を冠した地名

1964年、タウンズビルの百周年を記念する碑が建立され、ブラックはその功績が広く称えられました。また、「ブラック川」と「メルトン・ヒル」と名付けられた地名も彼に由来しています。タウンズビルで初の住宅地分譲が行われたこの丘陵も、彼の名前を冠しているのです。市街地とタウンズビル空港を結ぶ道路も『ジョン・メルトン・ブラック・ドライブ』と命名されています。

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