ジョン・モリーナ・ジュニア

ジョン・モリーナ・ジュニア（John Molina Jr.）は、1982年12月2日にアメリカ合衆国カリフォルニア州コビーナで生まれたプロボクサーです。激しい打ち合いを辞さないファイトスタイルで知られ、ライト級からスーパーライト級にかけて数々のドラマティックな試合を繰り広げました。

彼のプロキャリアは2006年3月31日に始まりました。このデビュー戦では、2回1分35秒で相手をマットに沈め、鮮やかなKO勝利でボクシング人生の第一歩を飾ります。その後も順調に白星を重ねていましたが、プロ入り初の黒星は2009年11月28日に訪れました。マーティン・ホノリオとのNABFおよびNABO北米ライト級王座決定戦に臨んだモリーナは、12ラウンドを戦い抜いたものの、0-3の判定で敗北を喫し、タイトル獲得には至りませんでした。

しかし、モリーナはすぐに立ち直ります。2010年7月9日、ロードアイランド州で行われたNABO北米ライト級タイトルマッチでは、王者ヘンリー・ランディーと対戦。劣勢を覆す11回2分18秒での逆転TKO勝利を収め、見事王座を獲得しました。さらに2011年5月28日には、アリゾナ州でのWBC全米ライト級王座決定戦でロベルト・フランケルを相手に3回1分45秒TKO勝ち。国内タイトルを再びその腰に巻きました。

念願の世界タイトル初挑戦は2012年9月8日、オークランドのオラクル・アリーナで実現しました。WBC世界ライト級王者アントニオ・デマルコに挑んだモリーナは、序盤から果敢に打ち合いを仕掛けましたが、デマルコの左フックを受けて動きが鈍り、続く強烈な連打を浴びてレフェリーがストップ。わずか初回44秒でのKO負けという衝撃的な結果に終わり、ライト級世界タイトルマッチにおける最短KO記録を更新する形での敗退となりました。

世界王座獲得は叶いませんでしたが、モリーナは再び地域タイトルの戦線に戻ります。2013年1月11日、ダニー・ウィリアムスとのNABO北米ライト級王座決定戦に勝利し、同タイトルへの返り咲きを果たしました。同年6月7日にはアンドレイ・クリモブに判定で敗れましたが、7月19日にはミッキー・ベイから10回TKO勝利を挙げるなど、タフなキャリアを歩み続けます。

モリーナのキャリアの中でも特に印象的な一戦となったのは、2014年4月26日に行われた元世界王者ルーカス・マティセーとの対戦でしょう。WBCアメリカ大陸スーパーライト級王座決定戦として組まれたこの試合は、前評判ではマティセーが圧倒的有利と見られていました。しかし、モリーナは2回にマティセーからまさかの先制ダウンを奪い、さらに5回にもダウンを追加。マティセーの左目上をカットさせるなど、番狂わせの予感を漂わせます。それでも百戦錬磨のマティセーは反撃を開始。8回、そして10回にモリーナからダウンを奪い返すと、最後は猛攻を仕掛けてレフェリーストップ。モリーナは11回22秒でのKO負けを喫しましたが、その勇敢なファイトは多くのファンに強い印象を残しました。

2014年9月13日には、フロイド・メイウェザー・ジュニアのビッグイベントの前座でウンベルト・ソトと対戦。この試合は、ラウンド終了後の打撃、多発するローブロー、両者合わせて4度もの減点など、非常に荒れた展開となりました。モリーナもローブローによるダウンや減点を経験し、試合は10回のフルラウンドを戦い抜きましたが、結果は0-3の判定負けとなりました。

2015年3月7日には、元世界王者エイドリアン・ブローナーとの注目の一戦が組まれましたが、モリーナは0-3の判定で完敗。さらにこの試合後、ドーピング検査で禁止薬物である利尿薬「フロセミド」の陽性反応が検出されるという問題が発生しました。モリーナはサプリメントへの混入の可能性を示唆しましたが、ネバダ州コミッションからファイトマネーの一部没収（9万ドル）と7ヶ月の出場停止処分が下されました。

処分明け後、モリーナは再びリングへ戻ります。2016年6月11日、元世界王者ルスラン・プロボドニコフとのWBOインターナショナルスーパーライト級王座決定戦に臨み、12回判定の末3-0で勝利。見事にタイトルを獲得し、健在ぶりを示しました。

しかし、同年12月10日に行われたWBC・WBO世界スーパーライト級統一王者テレンス・クロフォードとのビッグマッチでは、試合前日にモリーナがスーパーライト級の規定体重を3.4ポンド（約1.54kg）も超過し、失格となるという波乱がありました。これにより、モリーナが勝っても王座は獲得できないという条件で試合は行われましたが、結果は8回2分32秒でのTKO負けに終わりました。

ジョン・モリーナ・ジュニアは、世界王座には手が届きませんでしたが、そのキャリアを通じて数々の強敵と拳を交え、ファンを熱狂させる激闘を展開したファイターとしてボクシング史にその名を刻んでいます。

獲得タイトル

NABO北米ライト級王座
WBC全米ライト級王座
* WBOインターナショナルスーパーライト級王座

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