ジョン・ラファージ

ジョン・ラファージ：アメリカにおけるジャポニスムの先駆者

ジョン・ラファージ（John LaFarge）は、1835年にニューヨークで裕福なフランス系アメリカ人家庭に生まれました。彼は画家、そしてステンドグラス作家として知られ、特にアメリカにおけるジャポニスムの火付け役として多大な影響を与えました。彼の活動の中で、英文による日本美術についての初めての論文や滞在記を執筆したことが、アメリカにおける日本文化や美術への関心を高めました。

学歴と初期のキャリア

ラファージはカトリック系の大学に進み、後にセントジョンズカレッジ（現在のフォーダム大学）で法律を学びます。1856年、彼はヨーロッパに渡り、パリで画家のトマ・クチュールに師事しました。学生時代からイギリスの美術運動であるラファエル前派に影響を受け、画家としての道を歩み始めます。1857年にアメリカに帰国した後、彼は壁画やステンドグラス制作に取り組むようになりました。

日本美術との出会い

1861年、ラファージは地質学者のパンペリーが所有していた浮世絵の中で葛飾北斎の作品に出会い、これがきっかけで彼は浮世絵の収集を始めます。この興味は、ラファージが後に「An Essay on Japanese Art」を執筆する際の土台となりました。このエッセイは、フランスの著述家アーネスト・シェノーの著作を元にしていますが、英語としては初めての日本美術に関する紹介であるとされています。

日本への滞在

ラファージは1886年に初めて日本に渡り、日光、鎌倉、京都を訪れました。3か月間の滞在中に、日本の美術や文化に深い理解を持つようになり、岡倉覚三（天心）、フェノロサ、ビゲローらと親交を結びました。帰国後も岡倉と交流を続け、1897年には日本滞在記『An Artist's Letter from Japan （画家東遊録）』を執筆しました。これに対し、岡倉は『茶の本』をラファージに献呈するなど、互いの影響を受け合っていました。

ステンドグラスアートの革新

ラファージは、ルイス・カムフォート・ティファニーとともにアメリカのステンドグラスアートの先駆者として評価されています。彼らはステンドグラス協会を設立し、アメリカ各地に素晴らしい作品を残しました。彼の作品はトリニティ教会（ボストン）、ビルトモア・エステート、コロンビア大学のセントポール教会など、現在も多くの場所で見ることができます。

家族と後世の影響

1860年、ラファージはマシュー・ペリー提督の兄オリバー・ハザード・ペリーの孫であるマーガレット・メイソン・ペリーと結婚しました。彼の家族の中には建築家や牧師が多く、特に孫にピューリッツァー賞作家のオリヴァー・ラファージがいるなど、芸術と文化の分野において多様な影響を及ぼしました。

まとめ

ジョン・ラファージは、美術家としての多彩な活動を通じて、特に日本美術に対する理解と関心をアメリカに広めた重要な人物です。彼の作品と思想は、後の芸術家たちに多くの影響を与え、現在でも彼の足跡は多くの人々に知られています。

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