ジョン・レィヴァリ

ジョン・レィヴァリ（Sir John Lavery RA RSA RHA、1856年3月20日 - 1941年1月10日）は、アイルランドのベルファストで生まれ、後にスコットランドへ移住した画家です。主に人物画を制作しましたが、第一次世界大戦中は軍艦、飛行船、軍需工場など、戦時下の情景も描きました。

生い立ちと初期の活動

子供時代をスコットランドで過ごしたレィヴァリは、1870年代にグラスゴーの美術学校(Haldane Academy)でウィリアム・ライオネル・ワイリーに師事しました。1883年にはフランスへ渡り、グレ＝シュル＝ロワンの芸術家村で、自然主義の画家ジュール・バスティアン＝ルパージュの作品に触れ、影響を受けました。グラスゴーに戻った後、1888年にはグラスゴー国際博覧会を訪れたヴィクトリア女王の肖像画を制作する機会を得ました。また、パリにも滞在し、アカデミー・ジュリアンでウィリアム・アドルフ・ブグローやトニ・ロベール＝フルーリーに学びました。

画家としての活躍

画家としての名声を確立したレィヴァリは、ロンドンへ移り住み、多くの上流階級の人々からの依頼で肖像画を制作しました。ロンドンでは、肖像画家のジェームズ・マクニール・ホイッスラーと親交を深め、その影響も受けました。また、ジェイムズ・ガスリーやアレクサンダー・ロシュといった画家たちとも親しく、毎年、王立グラスゴー美術協会の展覧会に出展し、「グラスゴー派」の一員として知られるようになりました。

1889年に結婚し娘を授かりますが、1891年に夫人が肺炎で亡くなると、レィヴァリは北アフリカへしばらく滞在しました。1909年には画家のヘイゼル・ラヴェリーと再婚し、彼女の肖像画を数多く描きました。1911年にはロイヤル・アカデミー・オブ・アーツの準会員に選出されています。

第一次世界大戦と晩年

第一次世界大戦が勃発すると、レィヴァリは同じくアイルランド出身の画家ウィリアム・オーペンと共に公式戦争画家に任命されました。しかし、西部戦線で負傷したためロンドンに戻り、後方での戦時下の情景を描きました。1918年にはナイトの称号を授与され、1921年にはロイヤル・アカデミー・オブ・アーツの正会員に選ばれました。

作品の特徴と評価

レィヴァリの作品は、初期には自然主義の影響が色濃く見られましたが、後に印象派の要素も取り入れ、独自のスタイルを確立しました。肖像画では、対象となる人物の内面を深く捉え、その個性や気品を表現することに成功しています。第一次世界大戦中に描かれた作品は、戦争の現実を伝えるだけでなく、人間の尊厳や勇気を描いているものとして評価されています。

主な作品

肖像画
ヴィクトリア女王の肖像
ヘイゼル・ラヴェリーの肖像
その他、多くの著名人の肖像画
第一次世界大戦時の作品
軍艦の情景
飛行船の情景
軍需工場の情景
戦争に関連する人物の肖像

参考文献

Lavery, John, in Encyclopædia Britannica, 1911.
* Kenneth McConkey, Sir John Lavery, Edinburgh, Canongate Books, 1993, ISBN 0-86241-440-7.

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