ジョン・レディー・ブラック

ジョン・レディー・ブラックの生涯と業績

ジョン・レディー・ブラック（John Reddie Black）は、1826年1月8日にスコットランドで誕生し、1880年6月11日に亡くなったジャーナリスト、出版者、作家、写真家、歌手です。彼は一生の大半をアジアの国々、特に中国と日本で過ごし、その商業活動や文化的貢献によって知られています。

幼少期と来日前の経歴

ブラックはスコットランドのディザートでイギリス人の両親のもとに生まれました。若き日に関する詳細な記録は残っていませんが、彼は1854年、海軍の将校としてのキャリアを捨て、妻とともにオーストラリアへ移住しました。最初に試みた職業がうまくいかなかったため、彼は歌手としての活動を始め、オーストラリアからインド、中国を巡るツアーを行った後、日本に到達しました。特に1864年の横浜と上海での公演が高い評価を受け、日本での生活が11年以上にわたることになるとは、当初の彼の計画にはなかったでしょう。

日本での影響力

1864年、ブラックは横浜の『ジャパン・ヘラルド』という英字新聞のオーナーであるアルバート・ハンサードに誘われ、オークションビジネスを手がけることになり、1865年には共同経営者として迎え入れられます。しかし1867年、彼のビジネスパートナーシップは破産に至り、これを期にブラックは単独で『ジャパン・ガセット』を設立します。この新聞は、幕末の日本における重要なリーダーシップと改革運動を報道する役割を果たしました。1870年には『ファー・イースト』を東京で創刊し、日本の文化や歴史、習慣に関する多彩な内容を提供しました。

『ファー・イースト』は、写真製版の技術がおぼろげな時代に独自のオリジナル写真を添えることで特に注目されました。社内の写真家はオーストリア人のミヒャエル・モーザーでしたが、ブラックはアマチュア写真家としても貢献し、地元の文化や生活を映し出した記録を残しました。こうした活動は、彼にとって大きな挑戦であり、特に日本の気候による撮影条件の劣悪さや、品質の低い写真用化学薬品の問題に悩まされたことをブラックは語っています。しかし彼は、1873年からは写真に対して報酬を支払うようになり、より質の高いビジュアルコンテンツの提供を目指しました。

1874年からは上海でも『ファー・イースト』が発行され、中国における報道の対象も広がっていきました。1880年には、この新聞の発行が停止されることになりますが、ブラックはその後も日本語の新聞の発行に力を入れ、質の高い報道を目指しました。彼は『日新真事誌』という新聞を立ち上げ、政府の政策や議事録を扱う許可を受けましたが、政治的活動が高まる中で何度も政府の圧力に直面します。

影響と波乱に満ちた活動

政府がブラックを黙らせるための措置を強化していく中、1874年には外国人顧問としてのポジションを用意されました。しかし、明治政府が外国人の新聞編集を禁止し、報道規制が強まると、ブラックはこの職を辞し、新たに『万国新聞』を設立しますが、さらなる圧力に耐えられず日本を去ることとなります。

中国での業績と晩年

1876年、ブラックは上海で『ファー・イースト・アート・エージェンシー』を設立し、アート作品や写真を販売する活動を開始します。続いて1879年には『上海マーキュリー』を立ち上げ、この新聞は40年以上にわたる長い歴史を持ちました。

最終的に彼は横浜に戻り、1880年に亡くなりました。彼の息子、ヘンリー・ジェームズ・ブラックは、日本で「快楽亭ブラック」として知られる落語家として名を馳せました。ブラックの生涯は、アジアでの西洋文化と情報の交差点を象徴するものであり、ジャーナリズムの発展に寄与した先駆者と呼べるでしょう。

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