ジョン・ロブ

ジョン・ロブ（John Lobb）

ジョン・ロブは、イギリスで創業した靴の製造・販売を行う企業、およびそのブランド名です。創業者ジョン・ロブ（1829年 - 1895年）の名を冠し、1849年から続く老舗ブランドとして知られています。

創業と発展

ジョン・ロブは、元々コーンウォールの農家の息子でした。怪我により農作業ができなくなった彼は、ロンドンで靴作りを学び、その後オーストラリアへ渡ります。そこで彼は、採掘者が金塊を隠せるよう、かかとが空洞になったブーツを製作しました。このブーツが大当たりし、ロブは靴職人として名を馳せることになります。1849年には自身の名を冠した会社を設立し、1863年には英国王室御用達の称号を初めて獲得しました。

1866年、ロンドンに店を構え、1880年にはセント・ジェームズ・ストリートにも支店を開設。ジョン・ロブの死後、息子たちが事業を継承し、1902年にはパリ支店もオープンしました。

世界恐慌や第二次世界大戦の危機を乗り越え、エリック・ロブの活躍により会社は存続。戦後は英米での受注会で成功を収め、1956年にはエディンバラ公フィリップから御用達として認められました。

長年にわたり、ジョン・ロブ社は数多くの靴工房を買収し、事業を拡大していきました。

John Lobb Ltd.とJohn Lobb SAS

ジョン・ロブには、大きく分けて2つの系列があります。

John Lobb Ltd.：ロンドンを拠点とし、ビスポーク（オーダーメイド）のみを専門とする。創業者の末裔が経営。
John Lobb SAS：フランスのエルメスが所有し、既製靴を中心に展開。パリにビスポークの工房も持つ。

1976年、エルメスがパリ支店を買収し、John Lobb SASを設立。1982年からは既製靴のコレクションを発表し、世界中に高級ブティックを展開しています。

John Lobb Ltd.

John Lobb Ltd.は、創業者のジョン・ロブが1866年に開業した店舗がルーツです。ロンドンのセント・ジェームズ・ストリートに店舗を構え、現在もオーダーメイドの靴作りを続けています。

3万人の顧客の足型に合わせた木型を保管し、熟練の職人が一足ずつ丁寧に手作りしています。完成まで半年以上かかることもありますが、その品質の高さは世界中の顧客から支持されています。

英国のエディンバラ公およびウェールズ公からロイヤルワラントを授与されています。

John Lobb SAS

John Lobb SASは、1902年にジョン・ロブが開設したパリ支店がエルメスの傘下に入ったことで誕生しました。既製靴を中心に、世界各国で販売を展開しています。

既製靴は、エルメスの子会社が所有するノーサンプトンの工場で製造されています。また、パリにはビスポークの工房も構え、オーダーメイドの靴作りも行っています。

2014年には、パウラ・ジェルバーゼがアーティスティック・ディレクターに就任し、初のレディースシューズのプレタポルテラインを発表しました。

現在のジョン・ロブ

ジョン・ロブは、ビスポークと既製靴の両方で、最高品質の靴を提供し続けています。伝統的な技術を守りながらも、革新的なデザインを取り入れ、常に進化を続けています。

日本国内には、John Lobb SASの日本法人である株式会社ジョンロブジャパンが運営する店舗があります。

ジョン・ロブの靴は、その美しいデザインと卓越した履き心地で、世界中の紳士淑女を魅了し続けています。

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