ジョン・ロートン

ジョン・ロートン：不世出のロック・ボーカリストの軌跡

ジョン・ロートン（John Lawton、1946年7月11日 - 2021年6月29日）は、イングランドが生んだ伝説的なロック・ボーカリストです。そのキャリアは、ドイツのルシファーズ・フレンド、そしてイギリスのユーライア・ヒープといった、世界的に有名なバンドでの活動を通じて、音楽史に深く刻まれています。

生い立ちと初期の活動

ジョン・ロートンは、ウェスト・ヨークシャーのハリファクスで生まれました。音楽への情熱を抱き、初期にはアステリックス、ルシファーズ・フレンド、レス・ハンフリーズ・シンガーズといったバンドでキャリアをスタートさせました。これらのバンドでの経験が、彼の音楽的才能を磨き、後の成功への礎を築きました。

ロジャー・グローヴァーの『バタフライ・ボール』への参加

1974年、ロートンはロジャー・グローヴァーのコンセプト・アルバム『バタフライ・ボール』にゲスト参加しました。この作品には、ディープ・パープル・ファミリーのメンバーやロニー・ジェイムス・ディオなど、錚々たるメンバーが集結しており、ロートンの才能が広く認められるきっかけとなりました。

ユーライア・ヒープでの活躍

1977年、ロートンはデヴィッド・バイロンの後任として、ユーライア・ヒープの2代目ボーカリストに迎えられました。彼は『ファイアフライ』、『罪なきいけにえ』、『堕ちた天使』の3枚のアルバム制作に参加し、バンドの音楽性を新たな高みへと導きました。彼の加入は、ユーライア・ヒープの歴史における重要な転換点となりました。

ユーライア・ヒープ脱退後の活動

1979年にユーライア・ヒープを脱退した後も、ロートンの音楽活動は衰えることを知りませんでした。ルシファーズ・フレンド、レベル、ZAR、ルシファーズ・フレンドII、ガンヒル、ソロ、オン・ザ・ロックスなど、様々なバンドやプロジェクトでその才能を発揮し続けました。彼は常に新しい音楽の可能性を追求し、その飽くなき探求心は多くのファンを魅了しました。

ボーカル・スタイル

ロートンのボーカル・スタイルは、美しく伸びのある高音を特徴としています。彼は高らかに歌い上げる正統派シンガーであり、絶好調時の高音は驚異的な高さに達しました。声量よりも声の伸びで勝負するタイプで、若干パワーが不足する低音部ではビブラートを掛けることもありました。彼のピッチは高めの声の女性とほぼ同等で、地声そのものが高いタイプと言えるでしょう。彼の卓越した歌唱力は、ミュージシャンの間でも高く評価されていました。

ディスコグラフィ (一部抜粋)

アステリックス: 『アステリックス』 (1970年)
ルシファーズ・フレンド: 『ルシファーズ・フレンド』 (1970年), 『ホウェア・ザ・グルーピーズ・キルド・ザ・ブルース』 (1972年), 『ロックンロール・シンガー』 (1973年)
ユーライア・ヒープ: 『ファイアフライ』 (1977年), 『罪なきいけにえ』 (1977年), 『堕ちた天使』 (1978年)
ソロ・アルバム: 『Heartbeat』 (1980年), 『Still Payin' My Dues...』 (2000年)

晩年と死

ジョン・ロートンは、2021年6月に惜しまれつつこの世を去りました。彼の死は、音楽界に大きな悲しみをもたらしましたが、彼の音楽は今もなお多くの人々に愛され続けています。

ジョン・ロートンは、その才能と情熱で、ロック音楽の歴史に確かな足跡を残しました。彼の音楽は、これからも世代を超えて聴き継がれていくことでしょう。

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