ジョン・ヴィッカーズ

ジョン・ヴィッカーズ： драматический тенор

ジョン・ヴィッカーズ（Jon Vickers, 1926年10月29日 - 2015年7月10日）は、カナダが生んだ伝説的なテノール歌手です。本名はジョナサン・スチュアート・ヴィッカーズ。そのドラマティックな歌声と、役柄への深い感情移入で、世界中のオペラファンを魅了しました。

生い立ちと音楽への目覚め

1926年、カナダのサスカチュワン州プリンス・アルバートで生まれたヴィッカーズは、幼い頃から教会で聖歌隊として歌い始めました。その後、様々な仕事につきながら声楽を学び、1950年にトロント・ロイヤル音楽院へ進学。ジョージ・ランバートに師事し、本格的に声楽の道へと進みます。

オペラ歌手としての飛躍

当初はオラトリオ歌手として活動していましたが、1952年にカナダ放送協会のコンクールで優勝したことが転機となります。1954年にはカナダ・オペラ・カンパニーでビゼーの『カルメン』のドン・ホセ役を歌い、オペラ歌手としてデビューを果たしました。

その後、ヴィッカーズはヨーロッパへと拠点を移し、1956年のストラトフォード音楽祭でブリテンの『ルクレティアの陵辱』に出演。1957年にはコヴェント・ガーデン・ロイヤル・オペラでヴェルディの『仮面舞踏会』のリッカルド役を歌い、大成功を収めます。1958年にはバイロイト音楽祭にもデビューし、『ワルキューレ』のジークムント役を熱演しました。同年にはダラスで、マリア・カラスとケルビーニの『メデア』を共演し、その才能を世界に知らしめました。

ヘルデンテノールとしての地位確立

1959年からはウィーン国立歌劇場、1960年にはメトロポリタン歌劇場にも招かれるようになり、ヴィッカーズはヘルデンテノールとしての名声を確立します。ベートーヴェンの『フィデリオ』のフロレスタン、ワーグナーの『トリスタンとイゾルデ』のトリスタン、ヴェルディの『オテロ』のオテロなど、数々の難役を圧倒的な歌唱力と表現力で演じきりました。特に、1967年にブリテンの『ピーター・グライムズ』の主人公を歌って以降、同役は彼の当たり役となりました。

日本との縁

1979年にはコヴェント・ガーデン・ロイヤル・オペラ日本公演で初来日し、十八番である『ピーター・グライムズ』を歌い、日本のファンを熱狂させました。

受賞と私生活

ヴィッカーズは、1968年にカナダ勲章を受章。1969年にはカナダ政府から「サー」の称号を授与されています。私生活では、1953年に結婚し、5人の子供に恵まれました。

ジョン・ヴィッカーズは、その圧倒的な歌唱力と演技力で、オペラ史に名を残す великий тенор певца です。彼の歌声は、これからも多くの人々に感動を与え続けるでしょう。

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