ジョン・C・ステニス宇宙センター

ジョン・C・ステニス宇宙センター：アメリカのロケット開発を支える巨大施設

ジョン・C・ステニス宇宙センター（SSC）は、ミシシッピ州とルイジアナ州の州境に位置する、アメリカ航空宇宙局（NASA）最大のロケットエンジン試験施設です。広大な敷地には、歴史的なロケット開発から最新のエンジン試験まで、様々なミッションを支えるための施設が備わっています。

歴史

1960年代、NASAは、ルイジアナ州のロケット製造施設とフロリダ州の打上げ施設の中間に、大型ロケットの試験施設を必要としていました。特にアポロ計画で使用される巨大なロケットモーターは、陸上輸送が困難であったため、水路での搬入が可能な場所が求められました。この条件を満たしたのが、現在のステニス宇宙センターの場所でした。

建設にあたっては、周辺の5つの集落に住む約700世帯が立ち退きを余儀なくされましたが、その跡地には現在も当時の村道や学校の一部が残っています。

1961年10月に「ミシシッピ試験運用」として開発が始まり、55km²の試験エリアは、506km²の緩衝地帯に囲まれています。ここでは、サターンVロケットの第1段と第2段の試験点火が行われ、スペースシャトルメインエンジン（SSME）の最終検査も実施されました。

アポロ計画の終了後、施設の利用は一時的に減少しましたが、その後、様々な政府機関や民間企業がこの施設を利用するようになり、地域の経済に再び貢献するようになりました。

1990年代には、新しいエンジンコンセプトを試験するための複合試験施設「E」が建設されました。この施設での試験を通して、ハイブリッドロケットモーターが商用化され、民間企業による宇宙船「スペースシップワン」にも搭載されることになりました。

また、この施設内にある2つの巨大な水タンクは、1999年の映画『ダブル・ジョパディー』の撮影にも使用されました。

施設名称は何度か変更されており、当初は「ミシシッピ試験施設」、その後「国立宇宙技術研究所」を経て、1988年にミシシッピ州選出の上院議員ジョン・C・ステニスの宇宙開発への貢献を称え、現在の名称になりました。

2005年には、ハリケーン・カトリーナによって施設の一部が損傷しましたが、その後復旧し、2007年にはロールス・ロイスが航空エンジン試験施設を開設するなど、更なる発展を遂げています。

試験棟

ステニス宇宙センターには、様々なロケットエンジンや構成部品の試験に対応できる複数の試験棟があります。

A-1試験棟: サターンVロケットの第2段エンジン（S-II）の試験用に設計。最大動荷重は170万重量ポンド。
A-2試験棟: スペースシャトルメインエンジン（SSME）の試験に使用。最大動荷重は110万重量ポンド。
A-3試験棟: 高軌道での運用を想定した真空条件下でのJ-2ロケットエンジンの試験を目的として建設中。海面高度での試験にも対応。
B-1/B-2試験棟: 2つ合わせて最大動荷重1100万重量ポンドの試験が可能。デルタIVロケットエンジンの試験に使用。
E複合施設: 小型エンジンや構成部品の試験に使用。

入居組織

2005年時点で、ステニス宇宙センターには30以上の政府機関や民間企業が入居しています。現在、最大の組織は、3,500人以上の隊員を擁するアメリカ海軍です。その他にも以下のような組織が入居しています。

アメリカ海洋大気庁（NOAA）
アメリカ海軍研究所
ロッキード・マーティン
アメリカ海軍気象海洋コマンド
海軍海洋学局
NAVSCIATTS
南ミシシッピ大学
アメリカ地質調査所

ステニスフィア

ステニス宇宙センターには、一般向けのビジターセンター「ステニスフィア」があり、NASAの活動や宇宙探査に関する展示を見学できます。18人以上のグループで見学する場合は、写真付きの身分証明書が必要です。

まとめ

ジョン・C・ステニス宇宙センターは、アメリカの宇宙開発における重要な役割を担う施設です。その歴史、施設概要、そして入居組織を通して、宇宙開発の過去、現在、未来を垣間見ることができます。

出典

公式ウェブサイト
Lagniappe official newsletter
Movie of a test for a 250K hybrid rocket motor
High Performance Visualization Center homepage
National Data Buoy Center
Naval Meteorology and Oceanography Command
Robot Science Group

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