スペースシップワン

スペースシップワン：民間宇宙開発の先駆け

スペースシップワン（SpaceShipOne）は、スケールド・コンポジッツ社が開発した、世界初の民間による有人宇宙船です。2004年6月、高度約100kmの宇宙空間への弾道飛行を成功させ、宇宙開発の歴史に新たな一歩を刻みました。

概要

スペースシップワンの成功は、それまで国家主導で行われてきた宇宙開発のあり方に一石を投じました。アーンザリ・エックスプライズという賞金レースに参画し、2週間以内に同一機体での再飛行という条件を見事クリアし、1000万ドルの賞金を獲得しました。

Ansari X Prize 受賞条件

宇宙空間（高度100km以上）に到達する
乗員3名（操縦者1名と乗員2名分のバラスト）相当を打ち上げる
2週間以内に同一機体を再使用し、宇宙空間に再度到達する

ライト兄弟が自らの資金で動力飛行を成功させたように、スペースシップワンの成功は、民間企業や個人の資金による宇宙開発の可能性を示しました。この功績を称え、NASAの惑星探査機ニュー・ホライズンズには、スペースシップワンの機体の一部が搭載されています。

ヴァージン・ギャラクティックはスペースシップワンの技術を基に、宇宙旅行ビジネスを目指しスペースシップツーを開発しました。

飛行の詳細

2004年6月21日、スペースシップワンは、運搬機ホワイトナイトに吊り下げられ、カリフォルニア州のモハーヴェ砂漠の飛行場を離陸しました。高度約15kmで切り離された後、ロケットエンジンに点火し、音速の3倍まで加速。慣性飛行で高度100kmに到達し、3分間の無重力状態を体験した後、滑空により飛行場へ帰還しました。

機体

スペースシップワンは、ユニークな設計が特徴です。尾翼部分が回転し、落下時には立てることで空気抵抗を増やし、機体の過熱を防ぎます。機体番号N328KFは、目標高度の100km（約328キロフィート）に由来します。

設計: スケールド・コンポジッツ社
重量: 約3トン
乗員: 3名
エンジン: 液体亜酸化窒素と固体合成ゴムを使用するハイブリッドロケット

スペースシップワンの実機は、ワシントンD.C.の国立航空宇宙博物館に展示されています。

スペースシップワンがもたらしたインパクト

スペースシップワンの成功は、宇宙開発の民主化を加速させました。ヴァージン・ギャラクティックなどの企業が宇宙旅行ビジネスに参入し、一般の人々が宇宙へ行く機会が現実のものとなりつつあります。スペースシップワンは、まさに宇宙開発の新たな時代の幕開けを告げる存在と言えるでしょう。

関連項目

Tier One
ホワイトナイト (航空機)
スペースシップツー
Ansari X Prize
宇宙旅行
ニュー・ホライズンズ
ヴァージン・ギャラクティックの打ち上げ一覧

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