ジョヴァンナ1世 (ナポリ女王)

ジョヴァンナ1世・ダンジョの生涯

ジョヴァンナ1世・ダンジョ（Giovanna I d'Angiò、1327年 - 1382年5月12日）は、1343年から1382年までナポリ女王を務め、多くの称号を持つ重要な歴史的人物です。彼女はナポリ王ロベルトの長男カラブリア公カルロと、フランス王フィリップ6世の異母妹マリーア・ディ・ヴァロワの娘として生まれました。

王位と政治的葛藤

ジョヴァンナは1343年に祖父のロベルトの跡を継ぎ、ナポリ女王に即位しました。しかし、彼女の統治は平穏ではなく、従兄であるハンガリー王ラヨシュ1世が王位を狙い、1347年に彼女をナポリから追放します。ジョヴァンナはフランスに亡命し、1352年にようやくその地位に戻ることができました。初めは教皇ウルバヌス6世に支持を受けていましたが、次第に対立が生じていきます。1381年、教皇は彼女を王位から退位させ、カラブリア公のカルロ・ディ・ドゥラッツォにその地位を譲りました。

後継者問題と暗殺

子供がいなかったジョヴァンナは、1382年にヴァロワ＝アンジュー家のルイ1世・ダンジューを後継者に決定しますが、この決断が彼女の運命を大きく左右することになります。同年、彼女はムーロ・ルカーノでラヨシュ1世の命を受けた又従弟のカルロ・ディ・ドゥラッツォによって暗殺されてしまい、これによりカルロ・ディ・ドゥラッツォがカルロ3世として王位を継承しました。

結婚とその影響

ジョヴァンナは4度結婚しました。最初はハンガリー王ラヨシュ1世の弟アンドラーシュ（エンドレ）との結婚で、彼は1345年に暗殺され、彼女もその事件に関与していたと言われています。アンドラーシュとの間には1男カルロ・マルテッロが生まれましたが、彼は早世しました。次に、彼女は1346年にターラント公ルイージと再婚しましたが、ルイージは1362年に死去します。この結婚からは2人の娘が誕生しましたが、どちらも早く亡くなりました。

その後、ジョヴァンナは1363年にマヨルカ王ジャウメ4世と結婚しましたが、1375年に死別しています。1376年にはブラウンシュヴァイク＝グルーベンハーゲン公オットーとの最後の結婚を果たしましたが、子供はありませんでした。彼女の結婚生活は波乱に満ちており、政略結婚や夫の死も彼女の運命に影響を及ぼしました。

アヴィニョンの取得

また、1348年には教皇クレメンス6世がジョヴァンナからアヴィニョンを取得しています。アヴィニョンはその後、教皇宮殿を中心に国際ゴシック様式が栄え、フランス革命まで教皇領の一部として存続しました。

歴史上の重要な出来事や波乱に満ちた生涯を持つジョヴァンナ1世・ダンジョは、ナポリの歴史に大きな足跡を残しました。

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