ヴァロワ＝アンジュー家

ヴァロワ＝アンジュー家の概要

ヴァロワ＝アンジュー家（仏：maison de Valois-Anjou）は、フランスの王家であるヴァロワ家の支流の一つであり、アンジュー家と呼ばれる系統の中で第3の家系にあたります。この家系の起源は、ヴァロワ朝の第2代国王であるジャン2世とその妃ボンヌの次男であるアンジュー公ルイ1世から始まります。

歴史的背景

ヴァロワ＝アンジュー家は、カペー家の支流であるアンジュー＝シチリア家に関連している点が特徴です。特に、ジャン2世の祖母であるフランス王妃マルグリット・ダンジューが、アンジュー＝シチリア家出身であったため、より深い血縁関係があります。ルイ1世は、アンジュー伯領を1356年に受け取った後、1360年にアンジュー公に昇爵され、家系の名声を高めることに寄与しました。

ルイ1世はさらに、アンジュー＝シチリア家のナポリ女王ジョヴァンナ1世の養子となり、1382年に女王が亡くなった際には、自らの王位継承権を主張しました。このことは、ヴァロワ＝アンジュー家がアンジュー＝ドゥラッツォ家との間でナポリ王位を巡る争いに巻き込まれる引き金となりました。14世紀から15世紀にかけて、この家系は教会大分裂にも関与し、特にルイ1世とその子ルイ2世はアヴィニョンの対立教皇クレメンス7世を支持し、ローマ教皇ウルバヌス6世が認めたカルロ3世と争いました。

重要な出来事

ヴァロワ＝アンジュー家は、百年戦争の際にはフランス王シャルル7世を支援しました。1422年にはルイ2世の娘であるマリーがシャルル7世に嫁ぎました。ルイ11世はこのシャルル7世とマリーの子供であり、さらなる影響力を家系にもたらしました。

マリーの弟であるルネは、優れた政治的な手腕を持ち、1435年にナポリ王位を確保しますが、トラスタマラ家のアルフォンソ5世に敗れ、1442年にはフランスに逃げ帰ります。その後、彼はロレーヌ公家の相続人イザベルと結婚し、ロレーヌ公位を得ました。ルネの長女ヨランドの子孫からは神聖ローマ皇帝フランツ1世が誕生しています。また、ヨランドの妹マルグリットは、イングランド王ヘンリー6世と結婚し、彼女自身が百年戦争の和平に寄与しました。

そして、最後の当主であるシャルル5世が1481年に亡くなると、ヴァロワ＝アンジュー家はその系譜を絶ちます。しかし、ルイ11世の子であるフランス王シャルル8世は、ヴァロワ＝アンジュー家の権利を主張し、ナポリに向けて軍を進め、イタリア戦争が始まります。

家系図と称号

ヴァロワ＝アンジュー家のメンバーの名はフランス語に統一されています。主な称号としては、ポワティエ伯、アンジュー公、トゥーレーヌ公などがあり、名目上ではナポリ王やエルサレム王、ラテン皇帝なども持っていました。ルネはロレーヌ公やバール公としても知られ、シャルル4世はモルテン伯やギーズ伯を称しました。

まとめ

ヴァロワ＝アンジュー家は、フランス王家の一支流として、多くの歴史的な要素を含んでいます。この家系は、戦争や政治的な闘争において重要な役割を果たし、フランス史における重要な要素となりました。

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