ジョージ・マカートニー (初代マカートニー伯爵)

ジョージ・マカートニー伯爵 (1737年 - 1806年)

ジョージ・マカートニー（George Macartney, 1st Earl Macartney）は、18世紀のイギリスの外交官であり、植民地行政官としての印象的なキャリアを築きました。彼は、ロシア大使や駐清大使、さらにマドラスおよびケープ植民地の総督など、さまざまな要職を歴任し、その国際的な活動は当時の貿易と政治に大きな影響を及ぼしました。

生い立ちと教育

1737年、アイルランドのアントリム県リッサヌアに生まれたマカートニーは、スコットランド系の家系に属していました。彼の家族は、彼の祖父の代にアイルランドに移住し、地主としての地位を築きました。しかし、家督相続の際に財をめぐるトラブルがあり、マカートニーはかなりの苦労を重ねることになります。

1745年にはキルデア県の寄宿学校にて古典とフランス語を学び、1750年にはダブリンのトリニティ・カレッジに入学しました。1759年には、学位を取得し、続いてロンドンに移り住みます。そこで彼は、教師であったウィリアム・デニスを通じてエドマンド・バークと親交を深めました。この関係は、彼のキャリアにおいて重要な影響を持つこととなります。

駐ロシア大使

1764年、マカートニーはロシア大使として任命され、政治交渉に従事しました。彼はロシアとの通商条約の締結に成功し、エカチェリーナ2世への演説が高く評価されました。しかし、通商の再交渉の過程で様々な困難に直面し、ロシアの宮廷での障害に苦しむことになります。彼はこの経験をもとに、『ロシア帝国の記録』という著作を残し、ロシアにおけるイギリスの立場を強化しました。

アイルランド主席政務官と議員期

その後、マカートニーはアイルランド主席政務官を務めることになります。彼はアイルランドの議会において与党側を率い、野党との戦いを繰り広げました。この時期、彼はアイルランド貴族への叙爵を申請しますが、その申請は却下されました。

グレナダ総督とアメリカ独立戦争

1775年、マカートニーはグレナダの総督に任命され、特にフランスの侵攻に備えるための経済政策を打ち出しました。彼は民兵隊の組織に注力しましたが、1790年代にはアメリカ独立戦争の影響を受けることになります。彼は捕虜としてフランス軍の攻撃を受け、一時期捕らえられるも、無事に帰国を果たしました。

マドラスと清への使節団

1980年にはマドラスの総督に任命されます。この地では貿易政策に注力し、戦争を通じた影響力の拡大を図りました。また1792年には清朝への使節団を率いることになりましたが、この使節団は貿易交渉が上手くいかず、清の側に貿易を拡大する可能性は薄れました。彼はこの経験を通じて、アヘン戦争の原因ともなりうる国際的な動きを目の当たりにしました。

晩年と死

マカートニーはその後ケープ植民地総督としても活動しましたが、健康を害し、1798年に辞職しました。晩年は主にリッサヌアに住み、著作活動を通じて歴史に名を残しました。1806年4月、彼は死亡し、その業績は後の世代に大きな影響を与え続けることとなります。彼の生涯は、運と能力で出世を果たした18世紀の例として、今日でも語り継がれています。

著作と評価

彼の著作には、『ロシアについての記録』や『アイルランドについての記録』が含まれており、彼の外交活動や当時の国際情勢を知る上で貴重な資料となっています。また、彼はリテラリー・クラブの一員でもあり、その影響力は多方面にわたりました。

ジョージ・マカートニーは、その非凡なキャリアを通じて、イギリスと世界の交流の歴史に名を刻んだ人物です。

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