ジョーズ (アトラクション)

ユニバーサル・スタジオのボートライド・アトラクション『ジョーズ』：技術的困難と成功、そして閉鎖の歴史

世界中のユニバーサル・スタジオにある人気アトラクション『ジョーズ』は、1975年公開の同名映画をテーマにしたボートライドです。映画の臨場感あふれるシーンを再現したこのアトラクションは、多くの来場者を魅了してきましたが、その歴史は技術的な困難や環境問題、経済状況の変化など、数々の試練を乗り越えてきた物語でもあります。

フロリダ：技術的課題と環境問題

1990年、ユニバーサル・スタジオ・フロリダのオープンと同時に登場したフロリダ版『ジョーズ』。3トン、全長24フィートのアニマトロニクス・サメは、最先端技術を駆使して製作されました。しかし、オープン初日から機械の故障が相次ぎ、サメがボートを襲うシーンやサメが爆破されるフィナーレシーンでのトラブルが頻発しました。本物のサメの歯を使ったボート攻撃シーンではボートが損傷し、サメ自体も動作不能になることもありました。また、爆発シーンのリアリティから苦情が寄せられるなど、技術的な課題が山積していました。

これらの問題を解決するため、ユニバーサルは新たなシーンの製作や、複数の企業による共同制作という抜本的な対策を実施。サメがボートを襲うシーンや爆破シーンは、ガスタンクの爆発と感電死という新たな演出に変更されました。新しいサメは大幅に改良され、信頼性も向上しました。しかし、アトラクションの維持には年間200万ドルの石油代や、年間1回の排水作業など、莫大な費用がかかりました。さらに、排水処理における環境問題も発生し、1995年には環境保護局から是正命令を受けました。

2004年のハリケーンとそれに伴うガソリン価格高騰により、アトラクションは一時的に閉鎖されました。再開後も、炎の演出の軽減など、安全性を高めるための改修が行われました。

ハリウッドと大阪：成功と閉鎖

1976年には、ユニバーサル・スタジオ・ハリウッドのスタジオ・ツアーに『ジョーズ』のシーンが追加されました。この成功は、フロリダ版の製作にも大きく影響を与えました。一方、USJ（ユニバーサル・スタジオ・ジャパン）では、2001年のパークオープンと同時に『ジョーズ』がオープン。現在では、世界で唯一の『ジョーズ』アトラクションとして、高い人気を誇っています。

フロリダ版は、2011年に『ハリー・ポッター』エリアの拡張に伴い、アミティ・ビレッジ全体とともに閉鎖されました。これは、パーク全体の来場者数バランスを考慮した決定でした。現在でも、ダイアゴン横丁には『ジョーズ』を彷彿とさせる装飾が残されています。

アトラクションの魅力

『ジョーズ』アトラクションでは、待ち列に展示された釣り道具や海産物、そしてアミティ島のローカルテレビ局の放映など、映画の世界観を細部まで再現しています。ボートツアーでは、サメ襲撃現場を巡り、サメの襲撃、船長の奮闘、そしてサメの感電死といった、映画さながらの臨場感あふれる体験ができます。日本版では、ストーリーや演出に若干の違いがありますが、基本的な流れはフロリダ版と同様です。

まとめ

『ジョーズ』アトラクションは、技術革新と環境問題、経済状況、そして競合他社との競争という様々な要素が絡み合った歴史を持っています。アトラクションの技術的な難しさやその維持コストの高さ、そして環境への配慮など、数々の課題を克服しながらも、多くの人々にスリルと感動を与え続けました。現在、USJで体験できる『ジョーズ』は、その歴史と技術の結晶と言えるでしょう。

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