ジョーダン・EJ13

ジョーダンEJ13：2003年シーズンの苦闘と初優勝

2003年のF1世界選手権でジョーダンチームが使用したマシン、ジョーダンEJ13は、前年モデルであるEJ12をベースに改良が加えられたフォーミュラ1カーです。デザイナーはアンリ・デュランが担当しました。EJ12からの変更点としては、フロントノーズ形状の見直しによる前方視界の改善などが挙げられます。

しかし、このシーズンはチームにとって苦難の年となりました。まず、ワークスのホンダエンジンを失い、カスタマー仕様のフォード・コスワースRS1エンジンを搭載することになりました。このエンジンはジャガーチームが前年使用していた、いわゆる1年落ちのエンジンでした。このエンジンは信頼性に欠け、シーズンを通して度々エンジントラブルに見舞われました。さらに、メインスポンサーであったDHLの離脱やチームからの優秀な人材の流出も相まって、十分な開発を行うことが困難な状況に陥りました。

開発不足は、マシンの信頼性にも影響を与えました。レース中に発生したトラブルは深刻さを増していきました。第3戦ブラジルグランプリでは、ラルフ・ファーマンのマシンのサスペンションが走行中に突然破損する事態が発生。また、第13戦ハンガリーグランプリのフリー走行では、ファーマンのマシンのリアウイングが走行中に脱落し、タイヤバリアに激突する大クラッシュを招きました。これらの事故は、マシンの安全性に深刻な疑問を投げかけるものでした。

ドライバーラインナップは、ジャンカルロ・フィジケラとF1ルーキーであるラルフ・ファーマンの2名体制でした。ファーマンが負傷した2レースには、ゾルト・バウムガルトナーが代役としてスポット参戦。バウムガルトナーは、この参戦によりハンガリー人として初のF1ドライバーとなりました。また、最終戦日本GPでは、本山哲が金曜日の特別フリー走行に参加しています。

波乱のシーズンでしたが、いくつかのハイライトもありました。雨の第3戦ブラジルグランプリで、フィジケラは見事なドライビングで自身初となるF1優勝を飾りました。しかし、このシーズンでの入賞は、このブラジルGPの勝利と、他の2レースの入賞の計3回にとどまりました。ルーキーのファーマンは、スペインGPで8位入賞を果たしましたが、前述のハンガリーでの大クラッシュにより2レースを欠場することとなり、その後のパフォーマンスに影響が出ました。

これらの結果から、ジョーダンチームはコンストラクターズランキングで9位という結果に終わりました。1勝を挙げたものの、マシントラブルや開発不足、スポンサー離脱など、多くの困難に見舞われたシーズンとなりました。ジョーダンEJ13は、チームにとって苦い経験とともに記憶される1台と言えるでしょう。

スペック

シャーシ:
シャーシ名: EJ13
トレッド: フロント 1,500 mm / リア 1,418 mm
ホイールベース: 3,000 mm
全長: 4,600 mm
全高: 950 mm
材質: カーボンファイバー・アルミハニカムコンポジット
ギアボックス: ジョーダン 7速セミオートマチック
クラッチ: ジョーダン/AP
ブレーキ: ブレンボ
ホイール: BBS
タイヤ: ブリヂストン
エンジン:
エンジン: フォード・コスワース RS1
気筒数・角度: V型10気筒・72度
排気量: 2,998 cc
スパークプラグ: チャンピオン
燃料・潤滑油: エルフ

2003年シーズン成績

ジャンカルロ・フィジケラ: 12位 (12ポイント)
ラルフ・ファーマン: 19位 (1ポイント)
* ゾルト・バウムガルトナー: 24位 (0ポイント)

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