ジョー・コールドウェル

ジョー・コールドウェル：オリンピック金メダリスト、NBAとABAで活躍した名選手

ジョー・コールドウェル（1941年11月1日 - ）は、アメリカ合衆国テキサス州テキサスシティ出身の元バスケットボール選手です。彼は、1964年東京オリンピックで金メダルを獲得し、NBA（ナショナル・バスケットボール・アソシエーション）とABA（アメリカン・バスケットボール・アソシエーション）の両リーグで輝かしいキャリアを築きました。

大学時代とオリンピック

アリゾナ州立大学時代にオールアメリカンに選出されたコールドウェルは、その才能を早くから注目されていました。大学卒業後には、アメリカ代表として1964年の東京オリンピックに出場し、見事金メダルを獲得しました。このオリンピックでの活躍は、彼のプロキャリアへの扉を開く大きなきっかけとなりました。

NBAキャリア

デトロイト・ピストンズ

1964年のNBAドラフトで全体2位指名を受けてデトロイト・ピストンズに入団しました。ルーキーイヤーから即戦力として活躍し、10.7得点6.7リバウンドを記録、オールルーキー1stチームに選ばれました。彼の並外れた身体能力は、バスケットボール界だけでなく、NFL（ナショナル・フットボール・リーグ）のロサンゼルス・ラムズからも注目を集めました。ラムズからは、当時のピストンズでの年俸よりも高額な年俸で勧誘を受けましたが、ピストンズは翌シーズン中に彼をセントルイス・ホークスにトレードしました。

セントルイス／アトランタ・ホークス

セントルイス・ホークス（後にアトランタに移転）では、ゼルモ・ビーティ、ルー・ハドソンらと共に中心選手として活躍しました。1967-68シーズンには、チームは56勝28敗という好成績を収め、コールドウェル自身も16.4得点4.3リバウンドと成績を伸ばしました。1968-69シーズンにはオールスターに初選出され、翌1969-70シーズンには、キャリア初のアベレージ20得点オーバーとなる21.1得点5.0リバウンドを記録し、オールディフェンシブ2ndチームにも選ばれました。

ホークスの中心選手として活躍していたコールドウェルでしたが、契約問題で球団との関係が悪化し、1970年にホークスを退団、NBAからも一時的に離れることになりました。

ABAキャリア

カロライナ・クーガーズ

NBAを離れたコールドウェルは、カーペットメーカーに就職しましたが、NBAのライバルリーグであるABAのエクスパンションにより誕生したカロライナ・クーガーズと契約しました。NBAは、選手がライバルリーグへ流出することを最も恐れていたため、コールドウェルのクーガーズへの移籍に反対し、この問題は裁判にまで発展しました。しかし、判決はNBA側の敗訴に終わり、コールドウェルは無事クーガーズに入団することができました。クーガーズでの1年目である1970-71シーズンには、チームトップとなる23.3得点をあげ、オールABA2ndチームに選ばれました。クーガーズが57勝をあげた1972-73シーズンには、オールABA1stチームに選ばれています。

クーガーズでは4シーズンプレイし、ラストシーズンをスピリッツ・オブ・セントルイスで過ごし、1974-75シーズンを最後に現役を引退しました。NBA/ABA通算成績は、11シーズン782試合の出場で、12,619得点4,117リバウンド、平均16.1得点5.3リバウンドでした。

ABAのスーパースター、ジュリアス・アービングは、コールドウェルをABAのどの選手よりもディフェンスするのが上手かったと評しています。

契約問題と訴訟

コールドウェルが現役だった1960年代後半から1970年代にかけてのアメリカのプロバスケットボール界は、NBAとABAの間で激しい選手引き抜き合戦が行われた結果、選手の年俸が高騰し、契約問題に絡んだ様々な訴訟が起きました。コールドウェルも多くの訴訟を起こしており、ホークス時代もクーガーズ時代も球団との関係は良好とは言えませんでした。また、コールドウェルは当時禁止されていた代理人を通しての契約交渉を行っており、彼はマーシャル・ボアイェという不動産業者を代理人に立て、より好条件の契約を引き出そうとしていました。これらのコールドウェルの行動は、当時リーグを存亡の危機にまで追い込んだ選手の年俸高騰に拍車を掛けた一方で、現在は当たり前となっている代理人を通しての契約交渉や、後のフリーエージェント制度の確立など、選手の地位向上にも貢献しました。

主な業績

1964年東京オリンピック金メダリスト
NBAオールルーキー1stチーム：1964年
NBAオールディフェンシブ2ndチーム：1970年
NBAオールスターゲーム出場：1969年, 1970年
オールABA2ndチーム：1971年
ABAオールディフェンシブ1stチーム：1973年
ABAオールスターゲーム出場：1971年, 1973年

外部リンク

Basketball-Reference.com
* Remember The ABA

もう一度検索