ジョー・シュレッサー

ジョゼフ・テオデュール・マリー・シュレッサー

ジョゼフ・テオデュール・マリー・“ジョー”・シュレッサー（1928年5月18日 - 1968年7月7日）は、フランス出身の著名なレーシングドライバーです。彼の活躍はモータースポーツ界において特筆すべきものであり、特に彼の甥であるジャン＝ルイ・シュレッサーもレーサーとして知られています。

経歴

シュレッサーのモータースポーツキャリアは1952年頃に始まりました。彼は欧州各地でラリーに参加し、1957年には「リエージュ-ローマ-リエージュ」ラリーでメルセデス・ベンツ・300SLを運転し、総合2位を獲得するという輝かしい業績を残しました。その後、1961年にはル・マン24時間レースにおいてフェラーリのワークスドライバーとして参加することが決定しましたが、予選中に事故を起こし、大怪我を負ってしまいました。

その後も、シュレッサーは数々のレースで優れた成績を収めます。1964年にはパリ1,000km耐久レースで2位、1965年にはデイトナ24時間レースでGTクラス優勝、セブリング12時間では再びGTクラスで優勝を果たしました。さらに、1967年のランス12時間レースでも優勝し、1968年のデイトナでは3位、スパ1,000kmで2位に入るなど、彼はレース界での地位を確立していきました。同時期には、F2シリーズでもブラバムやマトラで争った実績があります。

1968年4月7日、フランスのホッケンハイムで行われたF2レースでは、ジム・クラークが事故に遭った際に、シュレッサーはMcLaren M4Aで参加し、6位でのゴールを果たしました。この頃、シュレッサーはリジェの創設メンバーとして活動する計画も進めており、友人のエンジニアであるミッシェル・テツと共に新たな自動車製造の道に進もうとしていました。

最後のレース

1968年7月、シュレッサーはF1フランスグランプリにホンダ・RA302でスポット参戦しました。彼はF1のレギュラードライバーとしての経験はなかったものの、主催者がフランス人ドライバーの起用を求めたため、起用されました。しかし、このRA302はホンダの創始者本田宗一郎の意向で、問題を抱えた設計がなされていました。特にオーバーヒートの問題は深刻で、チームはRA301の方を優先的に調整しなければなりませんでした。

レース日、ルーアンでの悪天候の中、シュレッサーのマシンは大量のオイルを吹き出しながらの走行を強いられました。言語の壁もあり、チームとのコミュニケーションが難しく、プラクティス中からスピンを繰り返しました。16番グリッドからの出走となった決勝では、3ラップ目に下りSベンドで制御を失い、クラッシュを起こしてしまいます。マシンは炎上し、シュレッサーはその場で命を落としました。

シュレッサーの死後、1976年にF1に参加したフランスのリジェチームのマシン名に彼のイニシャルが冠されるほど、彼の存在は今でもレーシング界に影響を与え続けています。また、彼の死から20年後の1988年、ホンダがマクラーレンとともに成功を収めた際には、皮肉にも彼の甥がそのレースの重要な場面に関与していたのです。シュレッサーの短くも輝かしい生涯は、モータースポーツの歴史に刻まれています。

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