ジョー・スピネル

ジョー・スピネル: 悪役の貴公子

ジョー・スピネル（本名：ジョセフ・J・スパニュオーロ）は、1936年10月28日にニューヨーク州で生まれたイタリア系アメリカ人の俳優です。彼はその体格と独特の風貌から、主にヤクザや犯罪者、汚職警官といった悪役の役どころで知られていました。スピネルは、映画界で強い存在感を示し、多くの作品でその印象を残しました。

早年期の生活

スピネルは、マンハッタンのイタリア系アメリカ人の家庭に生まれ、6人兄弟の末っ子として育ちました。父親は病気で早逝し、母親は女優として活動していました。家族の影響を受けて、スピネルも幼少期から芸能界に対する関心が強く、舞台やラジオ番組に出演していました。若いころから自身も劇団を立ち上げるなど、演劇の道を追求していました。

しかし、スピネルの人生は順風満帆とは言えず、特に失業中には薬物やアルコールの乱用に苦しむこともありました。加えて、慢性喘息を抱えていたことも、彼の生活に影響を及ぼしていました。

映画デビュー

彼の映画デビューは1972年に公開された『ゴッドファーザー』で、ウィリー・チチとして登場しました。当初、スピネルは主役のソニー役に選ばれる可能性もありましたが、スタジオの意向によって役を変わることになりました。この作品での存在感が評価され、彼は続編『ゴッドファーザーPARTII』にも出演し、ウィリー・チチの名を広めました。

その後もスピネルは、『タクシードライバー』や『ロッキー』『ロッキー2』などの有名作品に脇役として出演しましたが、主に悪役としてのキャリアを築くことになりました。1977年には、ポルノ女優のジーン・ジェニングスと結婚し、一子を授かりましたが、1979年には離婚しています。

自作映画への挑戦

スピネルは、シルヴェスター・スタローンとの交流を通じて、映画制作への意欲が膨らみました。1980年には自ら脚本・製作・主演を務めたスプラッター映画『マニアック』を監督のウィリアム・ラスティグと共に製作。スピネルのアイデアで制作が進められ、多くの映画会社を巡りながらなんとか公開にこぎつけました。この映画は後にカルト的な人気を得ることになります。

『マニアック』では特殊メイクの名手であるトム・サヴィーニがメイクアップを担当し、スピネルのキャリアに新たな光を当てました。公開後、スピネルはこの作品が高い評価を受けたことを受けて、さらに映画制作に情熱を注ぐことになりました。1984年には、『ファナティック （新マニアック）』で実母と共演を果たしますが、残念ながら興行的な成功は収められませんでした。

死亡

1989年1月13日、スピネルはニューヨーク州クイーンズにある自宅で急死しました。死因は心臓発作とされており、持病の喘息や薬物、アルコールの影響も噂されています。友人によって発見された彼は、意識が混濁した状態でソファに座ったまま亡くなっていました。

彼の生涯の締めくくりとして計画されていた『ゴッドファーザーPARTIII』への出演や、『マニアック』の続編を待つことは叶いませんでした。スピネルは、映画界に多大な影響を与えた俳優として記憶され続け、彼が眠るキャルヴァリー共同墓地は映画の名作『ゴッドファーザー』にゆかりがある場所としても知られています。

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