ジリ

ジリ（Žiri）は、スロベニアの市であり、ゴレンスカ地方、ノトランスカ地方、プリモルスカ地方の境界に位置しています。ポリャンスカ渓谷の末端、ジロフスキ盆地に位置し、自然豊かな地域です。伝統的な地方区分ではゴレンスカ地方に属し、スロベニアの統計上の地方区画では上カルニオラ地方に含まれています。市庁は市名と同じジリの集落に置かれています。

1994年のスロベニア自治体改革以前は、シュコーフィア・ロカ市の一部でしたが、改革によってシュコーフィア・ロカ市から18の集落が分離独立し、新たにジリ市が誕生しました。市の祝日は6月25日です。

市の名称

ジリの集落名は、1291年に「Syroch」として初めて記録され、その後1307年に「Seyroch」、1318年に再び「Syroch」と記録されています。スロベニアの語源学者マルコ・スノイは、ジリという名称は、人名の短縮形である複数形の「Žirъ」に由来し、「Žirとその人々」を意味すると述べています。一方で、市は名称の由来として、この地域に巨大なヨーロッパブナの森林があったことから、ブナの実であるドングリ（スロベニア語でžir）に由来するという説と、かつて湖沼地帯であったことから、スロベニア語で湖沼を意味する「Močvirje」が変化したという説を紹介しています。しかし、スノイはドングリ由来説を「可能性の低い説」としています。

市の紋章は、上下に区切られた後期ゴシック様式の盾形紋章で、上部に3つのドングリ、下部に黄金のドラゴン（ズメイ）が描かれています。この3つのドングリは市の旗にも描かれています。

産業

ジリでは、19世紀中頃から製靴業が盛んでした。1947年には靴職人の協同組合を母体として製靴工場が設立され、1951年に「アルピナ」と社名を変更しました。アルピナは、クロスカントリースキー用ブーツを主力とするウィンタースポーツ用シューズの世界的メーカーとして知られています。2022年にはチェコの企業に買収されましたが、その企業グループのオーナーであるFrantišek Pivoda氏は、アルピナをスポーツ分野で確固たる地位を築いている高品質なブランドと評価しています。

また、19世紀後半には、農家の副収入源としてボビンレース作りが始まりました。ジリ製のボビンレースは、オーストリア、クロアチア、さらにはアメリカにまで輸出されるようになり、1900年代に入ると州当局もボビンレース産業の促進に力を入れ始めました。現代では、副収入源としての産業的な役割は終えましたが、芸術的な創作や技術の伝承を目的とした伝統文化として、ボビンレース作りが続けられています。

集落

ジリ市には、市庁所在地であるジリの集落のほか、以下の17の集落が含まれます。

Brekovice
Brode
Dobravšce
Dolenja vas
Gorenja vas
Jarčja Dolina
Jesenica
Ledinica
Mrzli Vrh
Opale
Osredek
Podklanec
Račeva
Ravne
Selca
Stara vas
Zabrežnik

出典

ジリ市

外部リンク

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