ジンダイアケボノ

ジンダイアケボノ（神代曙）

ジンダイアケボノ（学名: Cerasus spachiana ‘Jindai-akebono’）は、バラ科サクラ属のサクラで、日本原産の栽培品種です。ソメイヨシノ系の交雑種と推測され、1991年に新品種として認められました。原木は東京都調布市の神代植物公園にあります。

発見の経緯

ジンダイアケボノは、神代植物公園で「アメリカ」（Akebono）という品種を接ぎ木で増やそうとした際に、偶然生まれた品種です。発見者の西田尚道氏によると、接ぎ木した苗木の中に、「アメリカ」とは異なる特性を示す個体が見つかりました。

当初、原木には「曙」という名札が付けられていましたが、これは別のサクラの名前であることが判明。その後、「アメリカ」という名札が付けられましたが、それとも違うことが分かりました。品種名が不明な状態が続きましたが、その美しさから来園者からの問い合わせが多かったため、神代植物公園が専門家へ調査を依頼しました。

調査の結果、日本花の会の西田尚道氏が従来の品種とは異なる特性を発見。さらに、桜研究者の林弥栄氏の調査により、これまで知られていない栽培品種であることが判明しました。品種名は、神代植物公園と旧名であるアケボノに因んで、林弥栄氏によって「ジンダイアケボノ」と名付けられました。1991年4月に日本花の会の会報で発表されています。

特徴

樹形: 傘状
樹高: 高木
花: 一重咲きの中輪、淡紅色でグラデーションが美しい
花期: 4月上旬（ソメイヨシノとほぼ同時期、神代植物公園では1～2日早い）

ジンダイアケボノはソメイヨシノよりもやや小型で、花の色が濃いのが特徴です。

ソメイヨシノの代替品種として

戦後、大量に植えられたソメイヨシノの老木が増え、樹勢の低下や病害虫の問題が深刻化しています。特に、ソメイヨシノはサクラ類てんぐ巣病に弱いため、日本花の会は2005年からソメイヨシノの苗木の配布を中止し、2009年からは販売も中止しました。

その代替品種として、てんぐ巣病に罹りにくく、開花時期や花の特徴がソメイヨシノと類似するジンダイアケボノが推奨されています。日本花の会が配布したジンダイアケボノの苗木は、2019年春時点で約17万本に達しました。

ジンダイアケボノは、ソメイヨシノよりも開花が数日早く、花の色が少し濃いのが特徴です。成長した場合の平均樹高は約13メートルで、ソメイヨシノよりも5メートルほど低いため、都市部にも適しています。そのため、各地の自治体などが、老木となったソメイヨシノを更新する際に、ジンダイアケボノを植樹する事例が増加しています。

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