ジンバブエ・ゴールド

ジンバブエ・ゴールド（Zimbabwe Gold、略称: ZiG）は、2024年4月にジンバブエで導入された法定通貨です。その価値は主に金によって裏付けられているとされ、導入当初は金本位制通貨として注目を集めました。導入時の為替レートは1米ドル=13.56ZiGでした。

ZiGは、ハイパーインフレによって価値を失ったRTGSドル（ジンバブエ・ドル）に代わるものとして導入されました。2024年4月5日に発表され、同年4月8日から流通が開始されました。旧通貨RTGSドルとの交換期間は21日間に設定されています。なお、通貨バスケット制は引き続き維持されています。

実は、ZiGは元々2023年4月に金本位制のデジタルトークンとして導入され、同年10月5日に法定通貨として認められていました。このデジタルトークンとしてのZiGは、GBDTという投資商品として現在も存在しています。

法定通貨としてのZiG導入当初は、紙幣と硬貨は未発行（製造中）で、デジタル決済（キャッシュレス）のみが利用可能でした。その後、2024年5月1日から紙幣と硬貨の発行が開始されました。

しかし、ジンバブエでは過去のハイパーインフレの経験から自国通貨への信頼が非常に低い状況が続いています。ZiG導入後も取引の多くが米ドルで行われており、2024年夏に深刻化した干ばつによる食糧不足がインフレを加速させ、実勢レートは1米ドル=25ZiG前後にまで悪化しています。同年9月には、政府が農家への支払いをZiGで行うことに反発が起き、外貨での支払いを求める事態も発生するなど、国民からの自国通貨への信頼は低いままで、ジンバブエ政府は通貨価値の維持に苦慮しています。

紙幣について

ZiGの紙幣は、10ZiG、20ZiG、50ZiG、100ZiG、200ZiGの5種類が発行されています。流通開始時に発行されたのは10ZiGと20ZiGの2種類のみで、50ZiG以上の券種はインフレの加速を懸念して発行が延期されています。当初は1ZiG、2ZiG、5ZiGの券種も発行が計画され印刷まで行われていましたが、同額面の硬貨が存在するためか、発行は棚上げされています。

紙幣のデザインは全券種共通で、表面は過去のジンバブエ・ドルやRTGSドルで使用されていたバランシング・ロックス（重なる3つの岩）が描かれています。裏面には12個の金塊と金の鋳造イメージがデザインされています。表面から見て右側には透かしがあり、右下にはQRコードが印刷されています。

硬貨について

硬貨は、1/10ZiG、1/4ZiG、1/2ZiG、1ZiG、2ZiG、5ZiGの6種類が発行されています。ただし、流通開始時に発行が確認されたのは1ZiG、2ZiG、5ZiGの3種類のみで、残りの3種類の発行は確認されていません。1ZiG未満の補助単位は存在せず、1ZiG未満の金額は分数で表現されています。

仮に発行が確認されていない3種類の硬貨が発行された場合、貨幣体系における最小単位は1/20ZiGとなります。この場合、1/20ZiGや3/20ZiGといった金額は現金で直接表現することができません。

ジンバブエ・ゴールドは、導入から間もないですが、その価値と国民からの信頼を確立するための課題が山積している状況です。

もう一度検索