ジ・エンド (ドアーズの曲)

「ジ・エンド」（The End）は、アメリカのロックバンド、ドアーズが1967年に発表した楽曲で、彼らのデビューアルバム『ハートに火をつけて』（The Doors）のB面最後に収録されています。

この曲は、10分を超える長尺であり、ジム・モリソンによって書かれた歌詞は、父親殺しや母子相姦といったテーマを含んでおり、発表当時は大きなセンセーションを巻き起こしました。これらのテーマは、ソフォクレスのギリシャ悲劇『オイディプス王』に触発されたものと解釈されています。モリソンは、この神話的な物語を、自身の内面的な葛藤や社会への反抗として表現しようと試みました。

音楽的には、この曲は前半部と後半部が別々に録音され、それらが繋ぎ合わされて完成しました。曲の6分26秒付近には、その繋ぎ目の痕跡を聴き取ることができます。前半は比較的穏やかながらも緊張感を孕んだサウンドで、モリソンの囁くようなボーカルが特徴的です。後半は、激しいギターの演奏やドラマチックな展開が加わり、曲全体に強烈な印象を与えます。

「ジ・エンド」は、1979年公開のフランシス・フォード・コッポラ監督の映画『地獄の黙示録』（Apocalypse Now）において、重要な場面で使用されました。映画では、曲の一部がカットされたバージョンが使用され、従来モノラルバージョンでしか聴くことのできなかった単語がはっきりと聞き取れるようにミックスされています。この映画での使用によって、「ジ・エンド」は新たな世代のリスナーに発見され、その存在感を一層高めることとなりました。

また、ドイツの歌手ニコが1974年に発表したアルバム『The End...』の中でこの曲をカバーしています。ニコのバージョンは、ドアーズのオリジナルとは異なる、よりダークで実験的なアプローチが試みられています。

「ジ・エンド」は、ドアーズの代表作の一つとして、今日でも多くの音楽ファンに愛され続けています。その音楽的な革新性や、モリソンのカリスマ的な存在感、そして歌詞に込められたメッセージは、時代を超えて人々の心に響き続けています。

関連事項：
* 地獄の黙示録

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