スイス軍

スイス軍の概要

スイス軍（フランス語: Armée suisse、イタリア語: Esercito svizzero）は、スイスの国軍です。最高司令官は大統領ですが、実際の権限は防衛・国民保護・スポーツを担当する連邦参事（国防相）によって行使されています。スイスの軍隊は、連邦参事会により管理されており、主に約4000人の常備軍と21万人以上の予備役で構成されています。スイスでは徴兵制度が採用され、傭兵の歴史を持つ国民皆兵が根付いています。また、外国政府の軍事施設の設置を許可しないことも特徴です。

歴史

スイスの兵士の起源は、歴史的に盟約者団にさかのぼります。1315年に行われたモルガルテンの戦いでは、盟約者団の同盟軍がハプスブルク家に勝利し、スイスの軍事力が周囲に認識されるようになりました。17世紀、スイスが戦火に巻き込まれる危険が増した際に、13邦の盟約者団は共同でヴィール防衛軍事協定を結び、連邦軍を創設しました。これによってスイスは連邦軍を持ち、国としての中立性を維持することに成功しました。

1848年、スイス連邦憲法の制定により、軍の管理が明確化されます。この憲法では、通常の常備軍の規模が制限され、有事の際には国民皆兵制度が適用されるよう定められました。当時の国防は全面的な動員に依存していましたが、普仏戦争時には多くの問題が露呈しました。その後、1874年に改正憲法が施行され、より中央集権的な管理が可能となります。

第一次世界大戦ではスイス軍も動員され、国の武装中立を維持しました。第二次世界大戦が勃発すると、スイスは即座に「武装中立」を宣言しました。国民に対する徴兵令を出し、850,000人を動員する決定を下します。また、領空侵犯の際には国際法に基づき迎撃を行う措置を講じました。国際法上での中立義務を果たしつつ、警戒態勢を維持していました。

近年、国際的なテロリズムへの対応や国際貢献を行うため、志願制への変更が試みられましたが、三度の国民投票全てで否決される結果となりました。内容の更新や改善を図ったアーミーナイフは、新型が2008年に導入され、ビクトリノックス製の製品が選ばれました。また、2020年3月には新型コロナウイルス対策として最大8000人の隊員が動員されることが決定しました。

スイス軍の構成

スイス軍は内陸国であるため、陸軍と空軍の2つの軍種で構成されています。海軍は持っていませんが、国境の湖や国際河川を警備するための巡視船が配備されています。陸軍の主な装備には、ドイツ製の「レオパルト2A4」があり、空軍は約30機のアメリカ製戦闘機「F/A-18C」を保有しています。また、自国開発の「ピラタス PC-21」高等練習機も使用されています。

スイス軍陸軍には多くの装甲車両が存在し、今でも多様な装備が維持されています。例えば、M113装甲兵員輸送車やPz.87レオパルト戦車などがその一部です。これは、中立的な国としての防衛能力を確保するための重要な要素と言えます。

まとめ

スイス軍は、長い歴史を持つ国軍であり、国民皆兵制度や徴兵制度を基盤とした防衛システムを有しています。国際的な情勢に応じて柔軟に対応しつつ、基本的な中立政策を維持することを心がけています。

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