スイッチ・オフ

スイッチ・オフ



2015年にカナダで製作された映画『スイッチ・オフ』は、パトリシア・ロゼマが監督を務め、エリオット・ペイジエヴァン・レイチェル・ウッドが主演を飾ったドラマ作品です。本作は、作家ジーン・ヘグランドが1996年に発表した小説『森へ 少女ネルの日記』を基にしています。

ストーリー



物語の舞台は、近未来。原因不明の事態により、全世界から突如として電力供給が停止した世界です。そんな中、文明から隔絶された原生林の中にある小さな小屋で、姉のネル、妹のエヴァ、そして父親のロバートの3人は生活していました。姉のネルが誤って自動車のバッテリーを壊してしまったため、外部からの物資補給が極めて困難になります。食料やガソリンが底をつきかける危機に直面した父は、なんとか車を修理し、燃料を求めて最寄りの街へと向かいます。街でダンスレッスンを受けたエヴァは、参加していたイーライと衝突してしまいます。帰路の途中、立ち往生していた車の運転手に助けを申し出る父でしたが、予期せず暴行を受けてしまうのでした。

一家は続くガソリン不足に苦しみ、状況は悪化の一途をたどります。父ロバートは、娘たちに、電力が回復するまで街には近づかないよう忠告します。それから間もなく、ロバートは木材を伐採作業中に誤ってチェーンソーで自らの足を切断する重傷を負います。出血多量により意識が薄れる中、彼は娘たちに互いを支え合って生きるよう言い残し、息を引き取ります。

父を失った姉妹は、食料が2ヶ月分しか残されていないという絶望的な状況に置かれます。ある夜、以前エヴァが街で出会ったイーライが小屋を訪ねてきます。彼の話によれば、街にはもはやほとんど人がおらず、ゴーストタウンのようになっているとのことでした。この出会いをきっかけに、ネルとイーライはお互いに心を通わせていきます。ある日、イーライはネルに、遠方の東には電気が残っており、インターネットも利用可能だという情報があること、現状維持では解決策がないため、危険を冒してでも旅立つ価値があると進言します。ネルは彼の提案に同意しますが、エヴァは小屋を離れることを頑なに拒みます。やむなく姉を残して出発したネルとイーライでしたが、ネルは妹を見捨てられず、結局小屋へ引き返します。

ネルとエヴァは二人きりでサバイバル生活を送ることになります。彼女たちは森に自生する植物の知識を深め、食料となるベリーなどを採取して自給自足の生活を送るようになります。困難なサバイバル生活の中で、互いを励ますためにささやかなパーティーを催すことを決めます。僅かに残ったガソリンを使い、発電機を動かしてホームビデオを再生します。そこには亡き両親の在りし日の姿が映し出されていました。その映像を見ながら、エヴァは音楽に合わせて踊り始めます。

姉妹の生活は徐々に安定し始めますが、ある日、森に侵入してきた見知らぬ男にエヴァがレイプされるという悲劇に見舞われます。さらにその結果、エヴァは妊娠してしまいます。ネルは中絶を勧めますが、エヴァは「これ以上誰も失いたくない」と強く拒みます。そして、ある激しい嵐の夜、エヴァに突然陣痛が始まります。荒れ狂う嵐で損傷した小屋での出産は危険だと判断したネルは、エヴァを森の古木にできた大きな空洞へと連れ出します。そこで姉は、予期せぬ体験をすることになるのでした。

キャスト



ネル:エリオット・ペイジ
エヴァ:エヴァン・レイチェル・ウッド
イーライ:マックス・ミンゲラ
ロバート:カラム・キース・レニー
母親:ウェンディ・クルーソン
スタン:マイケル・エクランド
* マーゴット:ジョーダナ・ラージー

製作



本作の製作は2013年10月21日に発表され、その時点で主演にエリオット・ペイジエヴァン・レイチェル・ウッドが決定していました。2014年8月27日には、マックス・ミンゲラカラム・キース・レニーの出演も報じられました。当初、監督はミーガン・グリフィスが検討されていましたが、最終的にはパトリシア・ロゼマがメガホンを取ることになりました。主要撮影2014年7月28日に開始されました。

公開と評価



『スイッチ・オフ』は、2015年9月12日に開催された第40回トロント国際映画祭のスペシャル・プレゼンテーション部門でワールドプレミアを迎えました。映画祭での上映後、アメリカでの配給権をA24とディレクTV シネマが獲得しました。

批評家の間では概ね好意的に受け止められています。映画批評集積サイトRotten Tomatoesには44件のレビューがあり、支持率は77%、平均点は10点満点中6.8点となっています。サイトの批評家要約では、終末世界のフレームや姉妹の絆という主題は既視感があるとしつつも、主演の二人の演技が高く評価され、作品に命を吹き込んでいると評されています。また、Metacriticには18件のレビューがあり、加重平均値は100点満点中59点でした。

もう一度検索

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。