スウィフト・017.n

スウィフト・017.n (Swift 017.n)

スウィフト・017.nは、スウィフト・エンジニアリングによって開発されたフォーミュラカーであり、2009年から2013年の間にフォーミュラ・ニッポンおよびスーパーフォーミュラで使用されました。これに関連する名称は、主催者である日本レースプロモーション（JRP）によって「FN09」（2009年 - 2012年）および「SF13」（2013年）として知られています。

開発の背景

この車両は、2006年から使用されていたローラ・B06/51|ローラ・B06_51（FN06）の後継として、2009年に登場しました。017.nは、これまでのフォーミュラ・ニッポンやその他のカテゴリーの車両には見られなかった独特のスピーディーで低く広いデザインが特徴です。なお、かつてCARTにシャシーを供給していた経歴があり、チャンプカーの流れを受け継いだ外観を持っています。

フロントウイングは2段式で、2008年までのF1で人気のあったアッパーノーズウイングの発展型となっています。また、この車両のロールフープにはインダクションポッドが搭載されておらず、代わりにオーバーテイクボタンの使用状況を示すランプが装着されている点が、他の車両との違いとして挙げられます。エンジンへの空気導入はロールフープの後部にあるルーバーを通じて行われます。もともとインディカー・シリーズ向けに設計されたため、構造は第3世代型インディカーに非常に近いものとなっています。

エンジンとトランスミッション

017.nに搭載されるエンジンは、引き続きV型8気筒で、2008年までの仕様と比較して排気量が3,000ccから3,400ccに増加しています。この改良はSUPER GT・GT500クラスとの仕様の共通化を図るもので、新たなエンジンサプライヤーの参入を期待しましたが、実際にはホンダとトヨタの二社によるエンジンサポートのままとなりました。

トランスミッションはリカルド製の6速シーケンシャルギアボックスで、2008年から使用されているザイテック製のセミオートマチックギアシフトシステム（EGS）が搭載されています。また、2010年からはパワーステアリングも解禁され、KYB製の電動パワーステアリングが導入されました。この変更は、増加したダウンフォースによりハンドルが重くなることを受けたもので、ドライバーからは「腕力勝負」との声が上がるほどでした。

ドライバーの評価

ドライバーたちのスウィフト・017.nに対する評価は低く、後年のレース関係者からは「あまり乗りたいと思わない」という意見や、レースバトルができず「楽しくない」という感想が伝えられました。開発に関与したエンジニアたちは、車両の重量が重くなりすぎてコントロールできないことや、ダウンフォースの出方も唐突になることを反省していました。ダウンフォースの絶対量にこだわったことが、ドライバーにとっては決して楽しめる車両とはならなかったとされています。

結果と継続使用

本来であれば2011年シーズンをもって撤退する予定でしたが、リーマン・ショックの影響で多くの参戦チームが経営的に苦しい状況に直面しました。これを受けて、主催者のJRPは2013年まで017.nの使用を継続することを決定しました。最終年である2013年にはシリーズ名称が「スーパーフォーミュラ」に変更され、この年のみ「SF13」とも呼ばれました。そして、このシーズンをもって017.nは引退を迎えました。

スペック情報

• - シャーシ

全長：4,775mm
全幅：2,000mm
ホイールベース：3,000mm
ブレーキキャリパー：6ポット（異なるチームにより異なる）
ホイール：チームによって異なる（BBS、エンケイ）
タイヤ：ブリヂストン製（フロント235/55R13、リア340/620×13）
燃料タンク：ATL製115L
ギアボックス：リカルド製6速シーケンシャル、ザイテック製パドルシフト
車両重量：712kg（ドライバー込み）

• - エンジン

供給メーカー：ホンダ（HR09E/HR10E）、トヨタ（RV8K）
気筒数・角度：V型8気筒・90°
排気量：3,400cc
弁機構：DOHC ギア駆動、吸気2、排気2
最高回転数：通常10,300rpm、オーバーテイクボタン使用時10,700rpm
最大馬力：600馬力以上
重量：120kg
燃料：無鉛ハイオクガソリン（サーキットにより異なる）

以上のように、スウィフト・017.nは多くの課題とともに記憶される一台であり、フォーミュラカーの進化の一端を担った存在でした。

もう一度検索