スウィートグラス郡 (モンタナ州)

アメリカ合衆国モンタナ州の南部に位置するスウィートグラス郡は、広大な自然が広がる地域です。

2010年の国勢調査によると、郡の人口は3,651人でした。これは、2000年の3,609人から10年間でわずか1.2%の増加にとどまっています。郡の行政中心地である郡庁所在地はビッグティンバー市で、その人口は1,641人（2010年）であり、郡内で最も多くの人々が暮らす自治体となっています。

地理的には、スウィートグラス郡の総面積は1,862平方マイル（約4,820平方キロメートル）に及びます。このうち、陸地が1,855平方マイル（約4,800平方キロメートル）を占め、残りのわずか7平方マイル（約18平方キロメートル）、水域率は0.37%が水面です。その広大な土地には、モンタナ州を東西に貫く州間高速道路90号線、南北を結ぶアメリカ国道191号線、そして歴史的なルートである旧アメリカ国道10号線といった主要な幹線道路が通っています。

隣接する郡としては、北にウィートランド郡、北東にゴールデンバレー郡、東にスティルウォーター郡があります。また、南部と西部はパーク郡と接し、北西にはマー郡が位置しています。

郡の豊かな自然環境は、いくつかの国立保護地域の一部を含んでいることからも伺えます。具体的には、カスター国立の森、ギャラティン国立の森、そしてルイスアンドクラーク国立の森の一部が郡域内に広がっています。

郡の政治的な傾向は、長年にわたり共和党が圧倒的に優位な地盤として知られています。特に大統領選挙では、スウィートグラス郡はほとんど常に共和党候補を支持してきました。民主党候補が郡で勝利した例としては、1936年のフランクリン・ルーズベルト候補が最後であり、唯一のケースです。この時、ルーズベルトはモンタナ州内の全ての郡で勝利するという圧倒的な結果を残しました。一方、1916年と1932年の大統領選挙では、モンタナ州全体が共和党を支持する中で、スウィートグラス郡が州内で唯一共和党が勝利した郡となるなど、その共和党支持の強さが際立つ歴史もあります。

国政レベルや州レベルの選挙だけでなく、地方選挙においても共和党の勢力は強い状況が続いています。近年、民主党の現職州知事であっても、スウィートグラス郡で多数の票を獲得することは難しいとされており、過去数十年間、民主党の知事候補がこの郡で勝利した事例は見られません。州議会においては、上院議員として共和党のジョン・エスプ氏が、下院議員として共和党のジョエル・ボニエク氏が郡を代表しています。

文化的な側面では、スウィートグラス郡は2009年に製作されたドキュメンタリー映画『スウィートグラス』の舞台となったことで知られています。この映画はモンタナ州の複数の郡を舞台にしていますが、そのタイトルはこのスウィートグラス郡にちなんで名付けられました。

郡内の主要な集落としては、郡庁所在地のビッグティンバー市のほか、国勢調査指定地域であるグレイクリフ、そしてメルビルといったその他の町があります。

スウィートグラス郡は、その広大な自然と歴史ある政治的傾向、そして文化的な影響を持つ、モンタナ州南部の特色ある地域と言えるでしょう。

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