スウェーデン＝ノルウェー

スウェーデン＝ノルウェー連合王国

スウェーデン＝ノルウェー連合王国（スウェーデン語: Svensk-norska unionen, Unionen mellan Sverige och Norge, ノルウェー語: Unionen mellom Norge og Sverige）は、1814年から1905年まで存在した、スウェーデンとノルウェーの同君連合です。この連合は、キール条約、ノルウェーの独立宣言、スウェーデンとの短い戦争、モス条約、そしてノルウェー憲法の改正を経て、一人の君主の下で結ばれました。連合の成立は、ナポレオン戦争後のヨーロッパにおける勢力均衡の変化と、両国の歴史的背景が複雑に絡み合った結果でした。

連合の形成

歴史的背景

スウェーデンとノルウェーは過去にも二度、連合王国を形成したことがあります。一度目は1319年から1343年の間、二度目は1449年から1450年の間でした。これらの連合は、両国間の政治的な関係が必ずしも安定していなかったことを示しています。

連合法

1815年8月6日に国王の裁可を得て成立した連合法は、両国で異なる形で施行されました。ノルウェーでは、同法は憲法の一部（Rigsakten）として扱われましたが、スウェーデンでは一般法の条項のまとまり（Riksakten）として扱われました。この違いは、連合内における両国の立場や、法律に対する解釈の違いを反映しています。

ウィーン会議

ヨーロッパ全土で領土が大きく変動したウィーン会議においても、スウェーデンとノルウェーの連合は議論の対象にはなりませんでした。これは、連合が当時の国際情勢において既成事実として受け入れられていたことを示しています。ただし、フェロー諸島、アイスランド、グリーンランドといったノルウェー領は、デンマークに残されたままとなりました。

連合内の不満と対立

ノルウェー側の不満

ノルウェーは、新たな連合に不承不承ながら参加しました。その背景には、スウェーデンによる支配に対する不満と、民族主義的な感情の高まりがありました。当時の文学作品には、ノルウェーの歴史と文化を賛美するものが多く見られ、これはナショナリズムの表れと解釈できます。また、ノルウェーの農村文化は、スウェーデンに対する抵抗の象徴としての役割を担いました。

地方自治の進展

1837年1月14日、ストーティング（ノルウェー議会）はFormannskapsdistriktとして知られる地方自治体の形成を可決しました。この法律は、ノルウェーの地方自治政府を承認する重要な一歩となりました。それぞれの教区（prestegjeld）が行政区分（formannsskapsdistrikt）を形成することを可能にし、ノルウェーの政治的自立性を高める要因となりました。

連合の解消へ

ノルウェーの議会は、連合に対する不満の高まりを受け、1905年6月7日に連合の解消を宣言しました。これは、ノルウェーの一方的な行動であり、スウェーデンとの間に緊張を生みましたが、8月13日の国民投票で圧倒的な支持を得たことで、議会の決議が正当化されました。

連合解消後の両国

カールスタード協定

1905年9月23日、カールスタードで両国間の交渉が行われ、相互の動員を停止することで合意しました。両国の議会は10月16日に連合法を破棄し、スウェーデン国王オスカル2世はノルウェー王位への主張を放棄しました。10月26日、ノルウェーは独立した王国として承認されました。

新王朝の成立

ノルウェー議会は、デンマーク王フレデリク8世の次男カール王子に王位就任を要請し、国民投票で王制が承認された後、カール王子はこれを受け入れました。1905年11月25日、カール王子はホーコン7世としてノルウェー王に即位し、新しい王朝が始まりました。

その他の出来事

新王朝の誕生

カール13世には子供がいなかったため、アウグステンブルク家のクリスチャン・アウグスト公子を養子に迎えました。しかし、クリスチャン・アウグストは急死し、後継者としてフランスの元帥ベルナドットが選ばれました。ベルナドットは、スウェーデン王太子カール・ヨハンとなり、実質的に国の舵取りを担いました。

ナポレオン戦争との関わり

カール・ヨハンは、当初ナポレオンの命令に従っていましたが、次第に反ナポレオン勢力に傾斜しました。1812年、ロシアとの間にサンクトペテルブルク秘密協定を結び、ノルウェーを獲得する代わりに、対仏大同盟に参加しました。この外交政策は、スウェーデンの上流階級から批判を受けましたが、結果としてノルウェーの獲得に繋がりました。

ベルナドッテ朝の成立

1818年2月5日、カール13世が亡くなり、カール14世ヨハンのもとでベルナドッテ朝が続きました。カール14世ヨハンは、国の物質的な発展を促進し、経済の立て直しに尽力しました。また、国内の政治改革にも着手しましたが、保守的な勢力の抵抗を受けました。

オスカル1世の改革

カール14世の息子オスカル1世は、より自由な傾向を持っており、様々な改革計画を立てました。しかし、議会の抵抗により、その多くは実現しませんでした。外政面では、オスカル1世は反ドイツの立場をとり、デンマークとプロイセンの間で勃発した第一次シュレースヴィヒ＝ホルシュタイン戦争において、デンマークを支持しました。

カール15世の憲法改正

1859年、オスカル1世が亡くなり、息子のカール15世が王位を継承しました。カール15世は、法務大臣ルイ・デ・ゲールの協力を得て、長年の課題であった憲法改正を達成しました。この改正により、議会は二院制となり、より民主的な制度へと移行しました。

オスカル2世の時代

オスカル2世の治世において、ノルウェーとの関係は政治において重要な位置を占めました。ノルウェーは、独自の領事館を要求し、そのことが両国間の軋轢を生むことになりました。1905年にノルウェーが一方的に連合解消を宣言したことで、長年の連合関係は終わりを迎えました。

連合解消のプロセス

1905年、ノルウェー議会は独自の領事制度を設置する法案を可決し、国王オスカル2世が拒否権を行使したため、内閣が総辞職しました。議会は、国王の権能を停止する決議を採択し、連合解消へと進みました。国民投票の結果、圧倒的な多数が連合解消を支持しました。その後のカールスタード協定で、両国は合意に達し、ノルウェーは独立を達成しました。

まとめ

スウェーデン＝ノルウェー連合王国は、19世紀のヨーロッパにおける政治的変動の中で生まれた同君連合であり、両国がそれぞれの独自性を保ちながらも、一つの君主の下で結びついたという点で、特異な存在でした。しかし、連合内には様々な不満と対立が存在し、最終的に解消へと至りました。この連合の歴史は、国家間の関係の複雑さと、民族自決の重要性を物語るものとして、今日でも注目されています。

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