スエズ運河会社

スエズ運河会社：歴史と変遷

スエズ運河会社（Compagnie universelle du canal maritime de Suez）は、1858年、フェルディナン・ド・レセップスによって設立されました。同社は、1859年から1869年にかけてスエズ運河の建設を主導し、その後長きに渡り運河の運営を担いました。当初はフランスの民間資本が中心でしたが、エジプト政府も出資していました。国際スエズ運河会社、あるいは万国スエズ運河会社と呼ばれることもありました。

設立から国有化まで

設立後、スエズ運河会社はエジプト政府との間で様々な摩擦を抱えました。1863年、エジプトの総督イスマーイール・パシャは、前任者から同社へ与えられていた特許の一部を拒否。この問題はナポレオン3世の調停によって解決しましたが、会社は補償として多額の支払いを強いられました。

1875年には、財政難に陥っていたイスマーイール・パシャは、保有していた同社の株式をイギリス政府に売却。これがイギリスによるスエズ運河への影響力を強めるきっかけとなりました。その後、イギリスは同社の株式の大部分を保有し、経営にも深く関与するようになります。1966年時点ではイギリス王室の持株比率が4割近く、イギリス人役員が3名も派遣されていました。しかし、ポンタ＝ムッソン（現在のサンゴバン）との資本提携後、王室の持株比率は減少していきました。

1956年、ガマール・アブドゥン＝ナーセル大統領によるスエズ運河の国有化は、第二次中東戦争（スエズ動乱）を引き起こす一大事件となりました。この国有化によって、スエズ運河会社は運河の運営権を失い、その歴史に大きな転換期を迎えます。

1956年以降の展開と合併

国有化後も、スエズ運河会社は様々な事業展開を行いました。商工信用銀行の支配や、他の企業との資本提携を通じて、事業規模を拡大。モルガン・グレンフェル（現在のドイツ銀行）系の企業との共同出資なども行っています。

1997年、スエズ運河会社はリヨン水道と合併し、スエズSAを設立。その後、傘下の企業売却などを経て、現在は国際的なコングロマリットであるエンジーの一部となっています。

歴代社長

スエズ運河会社の成功と変遷には、歴代の社長たちの手腕も大きく影響を与えました。主な社長には以下の人物が挙げられます。

フェルディナン・ド・レセップス (1855年-1894年)：スエズ運河の建設を主導した人物。
ジュール・ギシャール (Jules Guichard) (1892年-1896年)：レセップスの後任。
オーガスト＝ルイ＝アルベリク (Auguste-Louis-Albéric) (1896年-1913年)
シャルル・ジョンナール (Charles Jonnart) (1913年-1927年)
ルイ・ド・ヴォギュエ (Louis de Vogüé) (1927年-1948年)
フランソワ・シャルル＝ルー (François Charles-Roux) (1948年-1956年)

これらの社長たちは、それぞれの時代において、スエズ運河会社の発展に貢献しました。

まとめ

スエズ運河会社は、スエズ運河建設から国有化、そして現代のエンジーの一員となるまで、100年以上に渡り様々な変化を経験しました。その歴史は、国際政治、経済、そして企業経営の歴史を理解する上で重要な事例となっています。

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