スオミ (小惑星)

小惑星スオミ（1656 Suomi）について

小惑星スオミ（1656 Suomi）は、1942年にフィンランドの天文学者ユルィヨ・バイサラによって発見された火星横断小惑星です。この小惑星の名前は、フィンランドの現地語での通称に由来しており、1976年2月20日に小惑星センターが発行した小惑星回報「M.P.C. 3932」で正式に命名されました。

特徴

スオミは、太陽からの軌道長半径が約1.878 au、軌道離心率が0.123というやや歪んだ楕円軌道を描き、約2.6年かけて太陽の周りを公転しています。この軌道は火星の軌道と交差するため、スオミは火星横断小惑星に分類されます。また、スオミの公転周期は火星と共鳴関係にあるため、ハンガリア群と呼ばれる小惑星族に属しています。

ハンガリア群に属する小惑星の多くはE型小惑星であるとされていますが、スオミはトーレンの分類においてS型小惑星であると考えられています。

2004年に発表された赤外線天文衛星IRASによる観測結果では、スオミの直径は7.86 km、アルベド（反射能）は0.1556と測定されています。この直径は、火星横断小惑星の中では比較的大きく、2021年7月時点でJPL Small-Body Databaseに登録されている中では17番目に大きな火星横断小惑星となっています。

衛星の存在

2004年の観測では、スオミの周囲に衛星が存在する兆候は見られず、その後も衛星の存在を否定する観測結果が多数でした。しかし、2016年にスオミの光度曲線に、自転周期とは異なる12.60時間周期の変動が報告されました。当時は衛星の存在を示唆する明確な現象（衛星による食やスオミによる衛星の掩蔽）は確認されませんでした。

その後、スオミを1ヶ月以上にわたって追跡観測した結果、2020年に衛星の存在を示す観測結果が発表されました。この観測によると、衛星はスオミの周囲を57.92 ± 0.03時間の周期で公転しており、スオミの減光の度合いから、スオミと衛星の直径比は0.26 ± 0.02以上と推測されています。宇宙物理学者のRobert Johnsonは、衛星の直径を1.98 km以上、スオミからの軌道長半径を30 kmと推定しています。

補足

同じく「フィンランド」という言葉に由来する名称を持つ小惑星として、(1453) フェンニアがあります。

参考文献

Suomi - JPL Small-Body Database Browser
LCDB Data for (1656) Suomi - Asteroid Lightcurve Database (LCDB)
Warner, Brian D. (2011年12月6日). “1656 Suomi (2009)” - Palmer Divide Observatory

関連項目

アエトラ (小惑星)
フェンニア (小惑星)
小惑星の一覧 (1001-2000)

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