スカイフック気球

スカイフック気球：高高度観測の先駆者

スカイフック気球は、アメリカ海軍の研究機関によって1940年代後半から1950年代にかけて運用された無人気球です。主に高高度における気象観測を目的として開発され、大気研究に大きく貢献しました。

開発と運用

開発は、後に無人気球の設計・開発者として知られるようになった航空エンジニア、オットー・ウィンゼンが担当しました。観測実績を重ねるにつれ、スカイフック気球は成層圏における長期観測に最適な手段とみなされるようになります。チェレンコフ検出器などの様々な機器が搭載され、研究者に高度な情報と写真を提供しました。

1948年には、陽子、電子、そして電子を失った高エネルギー原子核を含む宇宙線の観測に利用されました。1953年9月には、磁気赤道における宇宙線研究を目的としたチャーチー計画の一環として、13機のプラスチック製スカイフック気球が成層圏へ打ち上げられました。これらの気球は、数万メートル以上の高度で-80℃という極低温に耐えながら飛行を続けました。

1957年8月19日には、太陽研究を目的としたストラトスコープ計画に投入されました。この計画では、研究者が操作できる特殊な光感知型指示装置付きの30センチ望遠鏡と、画像を地上に送信するカメラが搭載されました。これは初の気球搭載望遠鏡であり、太陽黒点の強力な磁場で観測される動きについて、科学者に貴重な知見をもたらしました。この観測により、当時としては最も鮮明な太陽写真が400枚以上撮影されました。

また、スカイフック気球は、ソ連への高高度航空偵察や高高度航空侵攻を目的とした高空の気流・気象データ収集にも使用されました。これらの活動に関する詳細は、現在も機密情報として扱われています。

UFOとの関連

スカイフック気球は、UFOとの関連でも知られています。マンテル大尉事件では、大尉がスカイフック気球をUFOと誤認し、酸素マスクなしで高高度まで上昇した結果、意識を失い墜落したという説があります。当時、スカイフック気球の存在は海軍の機密事項であり、空軍にとっては文字通りの「未確認飛行物体」でした。

まとめ

スカイフック気球は、高高度における科学研究、軍事偵察、そしてUFOとの誤認という、様々な側面を持つ興味深い存在です。その開発と運用は、高高度観測技術の発展に大きく貢献しました。

参考文献

Freier, P., Lofgren, E. J., Ney, E. P. and Oppenheimer, H. L. 1948. Evidence for heavy nuclei in the primary cosmic radiation. Physical Review 74:213-17
United States Centennial of Flight. Otto C. Winzen
Office of Naval Research

関連項目

ガス気球
モーグル計画
モビー・ディック計画
ゲネトリクス計画
マンテル大尉事件

外部リンク

Skeptical Inquiry article – 冷戦で機密扱いにされたスカイフック・プログラム、参加者からの事実
StratoCat - 科学研究、軍事分野、及び航空宇宙の活動における成層圏用気球の使用に関する歴史の再編集計画

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