スカーレット・パンパニケル

スカーレット・パンパニケル：ダフィー・ダックのシリアスな挑戦

ワーナー・ブラザース制作のルーニー・テューンズ短編アニメーション『スカーレット・パンパニケル』(The Scarlet Pumpernickel)は、1950年3月4日に公開された名作です。チャック・ジョーンズ監督、マイケル・マルチーズ脚本によるこの作品は、コメディアンとして知られるダフィー・ダックが、真面目な役柄に挑むという、意外性と魅力に満ちた物語です。

ダフィーの野望と劇中劇

物語は、ダフィー・ダックが自身の脚本をマネージャーであるJLに披露する場面から始まります。ダフィーは、いつもコメディの“やられ役”を押し付けられることに不満を感じ、本格的なシリアスな役を演じたいと願っていました。そこで、自ら執筆した脚本（ダフィー・デューマス・ダック名義）を、JLに読み聞かせるのです。これが、劇中劇『スカーレット・パンパニケル』の始まりです。

イギリスを舞台にした壮大な物語

劇中劇では、ダフィーは勇敢な若者スカーレット・パンパニケルを演じます。舞台は昔々のイギリス。スカーレットは、侍従長（ポーキー・ピッグ）に捕らえられそうになりながらも、侍従長の娘メリッサ（声は不明）の心を奪います。侍従長は、メリッサを大公（シルベスター・キャット）と結婚させることで、スカーレットをおびき寄せようと企みます。

一方、塔に幽閉されたメリッサはスカーレットへの想いを募らせています。結婚式を目前に、スカーレットは旅の貴族に扮して登場。侍従長や大公を翻弄しながら、ついにメリッサと再会を果たします。しかし、二人のロマンスは、大公の邪魔や侍従長の家臣たちの追跡によって、幾多の困難に直面します。

予測不能のクライマックス

物語は、スリリングな展開を続けます。スカーレットと大公の剣戟、激しい嵐、ダムの決壊、さらには火山の噴火と、予測不能な出来事が次々と起こります。クライマックスでは、スカーレットは絶体絶命の状況に陥り、自らの運命を決定づける、衝撃的な行動に出ます。

現実世界への帰還とダフィーの決意

劇中劇が終わり、現実世界に戻ったダフィーは、劇中のスカーレットを模倣するかのように、自身のベレー帽に銃を突きつけます。「この業界じゃ死ぬ気でやらなきゃシナリオは売れない」と、彼の言葉には、エンターテインメントの世界で成功するための、並々ならぬ覚悟が表れています。

キャストと日本での放送

この作品には、ダフィー・ダックの他に、ポーキー・ピッグ、シルベスター・キャット、エルマー・ファッド、ヘンリー・ホークなど、ルーニー・テューンズの人気キャラクターたちが多数出演しています。日本では『バッグス・バニーショー』などで放送され、オリジナル版と異なる吹き替え版やBGMも存在します。

『スカーレット・パンパニケル』は、ダフィー・ダックの意外な一面と、ユーモラスでありながらもスリリングな展開、そして予想外のラストで、観る者を魅了する傑作短編アニメーションです。チャック・ジョーンズ監督の才能が光る、忘れがたい作品として、高く評価されています。

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