スキッド (兵器)

スキッド対潜迫撃砲システム

スキッド（Squid）は、第二次世界大戦中のイギリスで開発された対潜迫撃砲システムのひとつで、その名はイカに由来しています。1942年に開発が始まり、1943年5月には海上での試験が行われました。このシステムは、ヘッジホッグという従来の対潜迫撃砲とは異なり、より大口径で強力な迫撃砲を用いています。

スキッドの設計と機能

スキッドは、陸戦で一般的に使用されているストークス・モーター式の迫撃砲を3連装で搭載しており、安定した水平方向の砲架に取り付けられています。艦に搭載されたソナーが目標を追尾し、射程に入ると自動的に発射される仕組みになっています。ヘッジホッグと比較すると、スキッドの砲弾は水圧信管を使用し、潜水艦が航行する水深で爆発するように設定されています。

撃ち出された砲弾は、艦の前方250メートルにおいて、約40メートルの一辺を持つ三角形を形成し着水します。この際、砲弾が至近距離（約7メートル）で爆発し、強大な圧力波を発生させることで潜水艦にダメージを与えます。さらに、2基のスキッドを搭載した艦では、両方のシステムが一斉に発射し、六角形のパターンで着水することで、効果的に防御することが可能です。

当初は水中目標に特化して開発されていましたが、その後の改良によって浮上した潜水艦をも攻撃できるよう、レーダーとの連携も実現されました。

戦果と評価

スキッドの初の戦果は1944年7月31日、イギリス海軍の「ロック・キリン」によって達成され、ドイツ海軍のUボート「U-333」を撃沈しました。前任のヘッジホッグは連合国の海軍に広く採用されていましたが、スキッドはイギリス連邦諸国を中心に導入され、その採用は比較的限られていました。それでも、その性能に対しては高く評価されていました。

日本の海上自衛隊も、あやなみ型護衛艦（30DD）の設計段階においてスキッドを検討しましたが、実際に導入されることはありませんでした。

退役と後継システム

1950年代後半からは後継となる発展型「リンボー」が就役し始め、スキッドはその役割を引き継がれるように退役していきました。最終的には1977年をもって、その運用を終了しました。スキッドは、対潜戦能力を強化するための重要なシステムの一つとして記憶されることでしょう。

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