スキッドステアローダー

スキッドステアローダーとは

スキッドステアローダーは、小型ながらも高い機動性を兼ね備えた油圧駆動の作業機械です。この機械の特徴的な操向機構は、車両の左右のホイールの回転速度や方向を調整することで、進行方向を自在に変えることにあります。スキッドステアローダーという名称の「スキッド」は横滑り、「ステア」は操舵を意味しており、この特異な操舵方式がスキッドステアローダーの魅力の一つです。

起源と発展

スキッドステアローダーの歴史は1960年に米国のメルローによって開発された「M-400」に始まります。このモデルが市場に投入された後、メルローは企業名を「ボブキャット・カンパニー」に変更し、スキッドステアローダーの普及を図りました。今日では、アメリカを含む世界各国の農機や建機メーカーがこの機種を取り扱っています。そのため、農業や建設現場など様々なシーンで幅広く使用されています。

構造と操作

スキッドステアローダーは4輪油圧駆動の無段変速機構を持ち、左右の前後のタイヤはチェーンで連結されているため、デフは存在しません。この構造は、油圧ショベルやクローラー式車両の旋回動作に似ています。運転席には左右それぞれに走行レバーが備えられており、これを操作することで各タイヤの前進・後退が行えます。たとえば、左右両方のタイヤを前に回転させれば前進し、右だけを前にすると左に曲がることができます。このような操向方法のおかげで、スキッドステアローダーはその場で回転する「超信地旋回」が可能です。

荷役作業

スキッドステアローダーの特性上、運転中は両手が走行レバーに必要ですが、荷役作業を行うには別途ブームやバケットを操作する必要があります。これには十字型のレバーや2本の独立レバーを使い、さらに足元にはブームとバケットのそれぞれに対応したペダルがあります。これにより、全ての肢を使っての精密な作業が求められ、運転者には一定の慣れが必要になります。

操作の簡略化とテクノロジーの進化

初期のメルローが開発した当初から、スキッドステアローダーの操作は難しいとされ、後発の各社は操作の簡略化に工夫を凝らしています。例として、左レバーで走行、右レバーで荷役作業を行う機能が導入されました。この形式ではペダルを使わずにバケットを細かく調整できますが、走行操作が一つのレバーに集約されたため、タイヤの直感的な動かし方には制約があります。

さらに、新たに開発された2本だけのレバーで走行と荷役作業が行えたとしても、電子的に油圧が制御されるため、故障のリスクが高まる可能性があります。一方で、従来の機械式の構造のレバーは故障が少ないものの、精密な操作には弱いという特性があります。

オプションと快適性

標準で備わっているのは鉄格子の囲いだけですが、各製造メーカーはスキッドステアローダーの快適性を高めるために様々なオプションを提供しています。例えば、前面ガラス窓やエアコン、ヒーター、タイヤ用クローラー、監視用のバックカメラなどが選べるようになっており、作業環境をより快適にしてくれます。

メーカーと選択肢

スキッドステアローダーを製造・販売している代表的なメーカーには、ボブキャット・カンパニーの他に、キャタピラー、クボタ、ジョンディア（ディア・アンド・カンパニー）、ニューホランドAg、ボルボ建設機械、JCバンフォード・エクスカベターズ、ヤンマーディーゼル（現・ヤンマー）、トヨタL&F、ロジスネクストユニキャリアなどがあります。これらの多様な選択肢は、用途に応じて最適な機種を選ぶ助けになります。

スキッドステアローダーは、その独特の操向方式と機動性により、多岐にわたる作業に心強いパートナーとして活躍しています。

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