超信地旋回

超信地旋回とは

超信地旋回（ちょうしんちせんかい）、またはスピンターンとは、履帯（クローラー）を持つ車両が、その場で中心を軸にして方向を変える技術です。この技術は特に油圧ショベルや戦車などの大型車両に利用されており、左右の履帯を逆方向に等速回転させることで実現されます。

他の旋回方式

履帯式車両の旋回には超信地旋回に加えて、信地旋回（しんちせんかい）、および緩旋回（かんせんかい）も存在します。

信地旋回

信地旋回は、片側の履帯を停止させ、もう一方の履帯のみを回転させる方法で、その停止した履帯を軸として車両が旋回します。この方式は、柔軟な方向転換が可能ですが、旋回半径が比較的大きくなりがちです。

緩旋回

緩旋回は、両履帯を同じ方向に回転させつつ、速度に差をつけることで、前進や後退しながら弧を描くように進路を変える方法です。この方法は、比較的広いスペースでの操作が可能ですが、切り替えに時間を要するため、狭い場所での機動には不向きです。

超信地旋回の利点と留意点

超信地旋回は、信地旋回に比べて小さなスペースで行えるため、工事現場や狭い場所での作業において重宝されています。しかし、履帯にかかる負荷が大きく、超信地旋回を繰り返すことは故障や履帯の脱落につながる恐れがあります。このため、導入には適切な車両性能の把握と維持管理が欠かせません。

戦車における超信地旋回の歴史

超信地旋回可能な戦車は、第二次世界大戦中の特定の車両に限られていました。イギリスのチャーチル歩兵[[戦車]]やドイツのティーガー戦車系列などがその例で、これらは左右の履帯の速度を変えることでスムーズに旋回が可能でしたが、重戦車はその特性故に超信地旋回を頻用することは避けられました。

戦後、アメリカの戦車の中ではM41ウォーカー・ブルドッグやM46パットンが新たに超信地旋回を採用し、その後の多くの戦車に応用されています。現在、NATO加盟国を含む西側諸国の主力[[戦車]]はほぼ全て超信地旋回機能を有しており、日本の陸上自衛隊の74式[[戦車]]、90式[[戦車]]、10式[[戦車]]もこの技術に対応しています。

ソビエト戦車との比較

一方、ソビエト軍の大半の戦車は超信地旋回ができませんでしたが、新型のT-14ではこの機能を搭載しています。これは、戦車の運用における機動性向上が求められた結果といえるでしょう。

語源について

「信地」という言葉は元来馬術に由来し、「その場」を意味しています。この概念は、明治時代の馬術書にも見られるもので、信地旋回と名称もその足跡を持っています。一方、超信地旋回という表現は、1940年代の日本の雑誌や書籍から確認でき、現代に至るまでその重要性は変わらないことが示されています。

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