スクールバンド

スクールバンドとは

スクールバンドとは、広義には学校単位で運営される音楽団体のことを指します。狭義には、小学校、中[[学校]]、高等学校、大学において、クラブ活動や部活動、サークル活動として活動している吹奏楽団や金管バンド、マーチングバンドなどを指します。音楽大学や音楽を専攻する学生のみによる団体は除外される場合があります。

各国でのスクールバンドの扱い（2025年現在、音楽専門学校を除く）

各国におけるスクールバンドの扱いは様々です。例えば、アメリカやカナダでは音楽の授業の一環として吹奏楽活動が行われています。一方、日本では部活動として盛んですが、少子化や働き方改革などの影響で活動規模の縮小が懸念されています。

日本のスクールバンド

日本の小学校、中[[学校]]、高等学校におけるスクールバンドは、主にクラブ活動として活動している吹奏楽団、金管バンド、マーチングバンドなどが該当します。小学校では器楽合奏団を指すこともあります。大学においては、応援団や体育会所属のサークルとしてスポーツ応援活動やパレードに取り組む吹奏楽団やマーチングバンド、学生会や文化会所属のサークルとして独立した音楽活動に取り組む吹奏楽団などがあります。

歴史

戦後、1951年に文部省が学習指導要領で特別教育活動について公示したことで、全国の小中[[学校]]、高等学校でスクールバンドが設置できるようになりました。1968年から1970年にかけてクラブ活動が必修化されたことや、学齢人口の増加に伴いスクールバンドの数が増加しました。各コンクールへの出場を通して演奏の技術水準が飛躍的に向上し、プロおよびアマチュア音楽愛好家の裾野を広げる役割を果たしてきました。

近年の課題

2018年問題に象徴される少子化や、コロナ禍を機とする部員減少、学校における働き方改革による練習時間短縮、部活動の地域移行など様々な理由により、スクールバンド全体の活動規模縮小が懸念されています。その一方で小編成スクールバンドのために、東日本学校吹奏楽大会や日本管楽合奏コンテストS部門が開催されたり、全日本[[吹奏楽コンクール]]課題曲公募要項で編成条件を小編成対応にしたり、課題曲演奏における規制緩和の実施が行われています。

特徴

日本のスクールバンドは、年齢や活動時間がほぼ同じで、その活動は一年を通して行われます。学校内外の各種行事への参加の機会も多く、子供たちは豊富な演奏の場を経験できます。多くのスクールバンドは活動の中心をコンクール参加としています。スクールバンドによっては、音楽の追究よりも勝敗にこだわっていたり、参加行事をこなすことに重点を置いていたり、音楽面よりも人格形成に重点を置いていたりするために、音楽的理解が深められていないことがあります。

1951年以降、スクールバンドでは「自発的、自治的な活動」、「自主的な生活態度」などをキーワードに活動が展開されてきたため、アメリカのように統一された系統的な指導方法や練習システムは確立されていません。また、スクールバンドの顧問を担う教員は必ずしも音楽科教員である必要はなく、音楽科教員以外でも担っている場合があるうえ、一部の大学を除いて音楽大学や音楽科教員を養成する大学では吹奏楽指導法の授業はないため、ほとんどは顧問を務めるようになってから指揮法や合奏法を自己研鑽して習得しています。解決策として中[[学校]]では2017年度より部活動指導員が制度化され、学校が外部指導者として専門家を利用できるようになりました。

授業ではなく異年齢集団として活動しているため、日本独特の「上下関係システム」という年長者が年少者を指導する練習体系があります。

名称の由来

1930年に廣岡淑生が東京音楽学校での音楽教育研究大会で研究発表「スクールバンドに就いて」を行ったのが、「スクールバンド」という名称が使用された最も古い記録です。廣岡は、「スクールバンド」という名称を軍楽隊やジンタ等の実用音楽と区別し、学校生徒・児童の発達段階に応じた音楽教育及び人間教育の一環と捉えて指導にあたりました。

海外のスクールバンド

アメリカ

アメリカでは、正規の授業として「吹奏楽」があり、専門の指導者によって小学校、中[[学校]]、高等学校、大学と一貫して指導されます。音楽教育の基準として指導内容が系統づけられており、スクールバンド活動として、基礎的な技能の習得、上級の技能の習得、各楽器毎の技能の習得について細やかな指導内容が示してあります。スクールバンドは小学校から高等学校までの全人教育の一環として確立した地位を与えられています。

イギリス

イギリスの初等学校、中等教育学校では、音楽の授業の中で合奏授業として楽器演奏を学びながら合奏に取り組みます。スクールバンドの形態は、吹奏楽に限らず単一楽器のみのアンサンブルや同族楽器によるアンサンブルである場合もあります。音楽の授業としてスクールバンドのほか、ほとんどの学校でサークル活動としてスクールバンドを設置しています。

ドイツ

ドイツの基礎学校では、午後から学習グループで種々の楽器の初歩的なアンサンブルおよび合奏に取り組みます。ギムナジウムなどの中等教育では、吹奏楽に取り組むことができ、必須授業として合奏授業を実施する学校もあります。中等教育では特色授業として学校独自の教育課程により選択性で音楽コースを設置し、吹奏楽、管弦楽、ビッグバンドを選択できるようにしている学校が多いです。

フランス

フランスの小学校、中[[学校]]、高等学校では、授業で吹奏楽に取り組むことがないうえに部活動等のサークル活動が存在せず吹奏楽に触れることはありません。一方で音楽学校による音楽専門教育が充実しており、音楽学校の吹奏楽団で吹奏楽に取り組むことができます。

韓国

韓国の小学校、中[[学校]]、高等学校のスクールバンドは、「トンアリ(クラブ活動)」という授業で活動したり、「パンガフ(放課後学校)」という放課後活動で活動しています。

台湾

台湾のスクールバンドは、国民小学3年生以上、国民中学、高級中等学校で行われる授業「綜合活動」に含まれる「団体活動」における「社団」と呼ばれるクラブ活動の1つです。一部の学校では、アメリカ同様、音楽の授業として活動しているバンドもあります。

スクールバンド向け作品の作曲コンクール

スクールバンドの発展のため、日本だけでなく海外でもスクールバンド向けの作品を作曲するコンクールが開催されています。

日本管打・吹奏楽学会作曲賞
21世紀の吹奏楽“響宴” スクールバンド・プロジェクト
* バーバラ・ビュールマン作曲コンテスト

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