スクール・デイズ (アルバム)

スクール・デイズ（School Days）

『スクール・デイズ』は、アメリカのベーシスト、スタンリー・クラークが1976年にリリースした通算4作目にあたるスタジオ録音作品です。このアルバムは、フュージョンというジャンルにおいて、特にエレクトリックベースの楽器としての地位を確立し、後続の多くのベーシストに多大な影響を与えた金字塔として知られています。

アルバムの音楽性と評価

本作の最大の聴きどころは、スタンリー・クラークによる革新的でテクニカルなベースプレイにあります。特にタイトル曲「スクール・デイズ」におけるスラップ奏法は強烈なインパクトを与え、リリース当時、多くのプロフェッショナルなベースプレイヤーがこの曲を模倣しようと試みました。音楽評論家のリチャード・S・ジネルはオールミュージックでのレビューにおいて、クラークの雷鳴のようなスピーディなスラップフレーズが、当時のベースプレイヤーたちにとっての必聴要素であったと述べています。同時に、クラークは単なる技巧派に留まらず、急速に作曲能力を向上させており、その優れたソングライティングがアルバム全体を聴きやすく、幅広いリスナーが楽しめる作品にしている点をジネルは高く評価しています。

収録曲には、躍動感あふれるフュージョンナンバーから、より内省的な雰囲気を持つ楽曲まで含まれており、スタンリー・クラークの多様な音楽性が示されています。また、アコースティック・ベースやピッコロ・ベースなども使い分け、ベースという楽器の表現力の幅広さを見せつけています。

商業的成功

『スクール・デイズ』は商業的にも成功を収めました。アメリカの主要アルバムチャートであるBillboard 200では、前作『ジャーニー・トゥ・ラヴ』（1975年）に続いてトップ40入りを果たし、最高34位を記録しました。また、ジャズ・アルバム・チャートでは1977年に最高2位に達するなど、ジャズ/フュージョン分野だけでなく、より広いリスナー層にも受け入れられたことがうかがえます。

特記事項と参加ミュージシャン

本作に収録された「デザート・ソング」には、高名なギタリストであるジョン・マクラフリンが参加しています。なお、この曲には別ヴァージョンが存在し、オリジナル盤には未収録のアウトテイクとなっていましたが、後に1991年にリリースされたアルバム『Live 1976–1977』の中で初めて公開されました。

レコーディングには、スタンリー・クラーク自身のベース各種（エレクトリック、アコースティック、ピッコロ）に加え、ピアノやボーカルなども担当。さらに、デヴィッド・サンシャス（キーボード、ギター）、ジョージ・デューク（キーボード）、レイモンド・ゴメス（ギター）、ジョン・マクラフリン（アコースティック・ギター）、イカルス・ジョンソン（ギター）、ジェリー・ブラウン（ドラムス）、スティーヴ・ガッド（ドラムス）、ビリー・コブハム（ドラムス、モーグ・シンセサイザー）といった、ジャズ、フュージョン、ロックといったジャンルで活躍する名手たちが多数参加しています。ストリングスやブラス・セクションもフィーチャーされており、楽曲に彩りと深みを与えています。

収録曲

全曲、スタンリー・クラーク作曲。

1. スクール・デイズ - "School Days" - 7:48
2. クワイエット・アフタヌーン - "Quiet Afternoon" - 5:06
3. ザ・ダンサー - "The Dancer" - 5:24
4. デザート・ソング - "Desert Song" - 6:53
5. ホット・ファン - "Hot Fun" - 2:52
6. ライフ・イズ・ジャスト・ア・ゲーム - "Life Is Just a Game" - 8:58

『スクール・デイズ』は、単なるテクニカルなベースアルバムではなく、優れた楽曲と豪華なゲストプレイヤーが融合した、フュージョンの歴史においても極めて重要な位置を占める作品と言えるでしょう。

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