スケイルアーマー

スケイルアーマー

スケイルアーマーは、小さな金属片や革片を布や革の下地に、紐やリベットで鱗状に貼り付けた鎧の一種です。日本語では「鱗鎧（うろこよろい）」とも呼ばれます。

概要

スケイルアーマーは、比較的小さなパーツを大量に製作し、それを下地に取り付けることで完成します。そのため、板金を立体的に成形するプレートアーマーなどと比較して、比較的低い技術力で製作できます。しかし、チェインメイル（鎖帷子）よりは高度な加工技術と手間が必要とされます。

歴史的には、帝政ローマではロリカ・セグメンタタが主流でしたが、隣接するスキタイ人やパルティア人などがスケイルアーマーを利用していました。西ヨーロッパでは、チェインメイルが普及する10世紀ごろまで皮革製のスケイルアーマーが使われていました。青銅や鉄製のものは、紀元前の時代からイラン・イラク、中国、北アジアの遊牧民などで見られましたが、中国やイランでは早い時期に小札鎧（こざねよろい）へと移行したため、あまり一般的ではありませんでした。

スケイルアーマーは、小片同士が重なり合う構造のため、柔軟性があります。そのため、複雑な工夫を凝らさなくても動きやすく、主に胸から胴にかけてを覆う鎧として利用されました。

鎧としての機能ですが、鋭利な刃物による攻撃に対しては高い防御力を発揮します。また、先端が尖った武器による刺突にも、ある程度の防御効果が期待できます。しかし、鈍器などによる打撃を吸収する効果は高くありません。

ファンタジー作品におけるスケイルアーマー

ファンタジー作品においては、ドラゴンの鱗などを用いたスケイルアーマーが登場することがあります。ドラゴンの鱗は、鉄以上の強度や耐火性を持つという設定が多く、魔法の鎧と並んで高い防御力を誇る鎧として描かれることがあります。これは、現実のスケイルアーマーとは異なり、完全に架空の鎧といえます。

日本にも、大蛇の鱗は刀や矢を通さないため、鎧の裏に縫い付けると良いという伝承があります。

ファンタジー作品における金属製のスケイルアーマーは、一般的にレザーアーマー（革鎧）よりも防御力が高いものの、鎖帷子と同程度かそれよりも弱く、重くて動きにくく、音がうるさい鎧として描かれることが多いようです。

脚注

関連項目

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