スケディオス

スケディオス（Σχέδιος, Schedios）

スケディオスは、古代ギリシアの神話に登場する複数の人物が持つ名前です。中でも最もよく知られているのは、ナウボロスの子であるイーピトスとヒッポリュテーの間に生まれたスケディオスで、彼はエピストロポスという兄弟を持っています。このスケディオスは、ポーキス地方に位置する重要な都市であるパノペウスの王として統治を行っていました。

王として、スケディオスは自らの王国をボイオーティア地方からの潜在的な攻撃から守る責任を担っていました。また、彼はスパルタ王テュンダレオスの美しい娘ヘレネーが、多くの英雄たちから求婚された際に、その求婚者の一人に名を連ねていました。後に、このヘレネーがトロイアの王子パリスに連れ去られたことに端を発するトロイア戦争が勃発すると、スケディオスはかつて交わした誓いを果たすため、ギリシア側の主要な武将として参戦を決意します。

彼は自らが治めるポーキス地方から集めた軍勢を率いてトロイアへと向かいました。伝説によれば、彼と弟のエピストロポスが共に指揮した船団は、合計で40隻に及んだとされています。ただし、これには異説もあり、スケディオス自身が30隻を率い、エピストロポスが残りの10隻を指揮したとも伝えられています。

トロイア戦争における激しい戦いの中で、スケディオスはギリシア軍のために勇敢に戦いました。しかし、英雄アキレウスの親友であるパトロクロスがトロイア軍の総大将ヘクトールに討たれた後、その遺体を巡って繰り広げられた壮絶な争奪戦の最中、スケディオスもまた、トロイア軍最強の戦士であるヘクトールの手によって討ち取られてしまいました。彼の死は、ギリシア軍にとって大きな痛手となりました。

戦争が終結した後、スケディオスの遺骨は、故郷であるポーキス地方へと運ばれ、そこで敬意をもって埋葬されたと伝えられています。このように、イーピトスの子スケディオスは、ポーキスの王として故郷を守り、トロイア戦争に参戦して奮戦し、ヘクトールによって討たれた悲劇的な最期を遂げた人物として、ギリシア神話にその足跡を残しています。

なお、神話の中には、イーピトスの子である上記のスケディオスとは別に、ペリメーデースの子とされるスケディオスや、イタケーの王オデュッセウスの妻ペーネロペーに求婚した多くの男性たちの一人としてのスケディオスなども存在が語られています。しかし、これらの同名の人物に関する神話上の記述は非常に限定的であり、具体的な業績や生涯についてはほとんど知られていません。したがって、単に「スケディオス」と言及される場合、通常はこのトロイア戦争に参戦したポーキスの王を指すことが一般的です。

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