ペリメーデース

ギリシア神話において、「ペリメーデース」（または長音を省略して「ペリメデス」）という名は、複数の異なる人物を指す固有名詞として登場します。これらの人物はそれぞれ別の伝承や物語に現れ、同一人物ではありません。特に言及されることが多い人物として、以下のような人物が知られています。

ケンタウロスの一員
この名前を持つ人物の一人に、半人半馬の種族であるケンタウロスの一員がいます。彼はペウケウスの息子であり、ドリュアロスという兄弟がいました。ケンタウロス族は、一般的に粗野で衝動的な性質を持つ存在として描かれることが多いですが、ペリメーデースもまたそうした一族の一員でした。彼は、ラピテース族の王ペイリトオスとヒッポダメイアの結婚式に他の多くのケンタウロスたちとともに招かれましたが、祝宴の場で酔っぱらい、ラピテース族の女性たちに乱暴を働き始めました。これが原因で、ケンタウロス族とラピテース族との間で壮絶な戦いが勃発し、多くの命が失われました。ペリメーデースと彼の兄弟ドリュアロスも、この激しい戦いに身を投じました。

エウリュステウスの子
別のペリメーデースは、ヘーラクレースに難業を課したことで知られるミュケーナイの王エウリュステウスの息子です。彼の母はアンティマケーでした。彼は、アレクサンドロス、イーピメドーン、エウリュビオス、メントールといった兄弟たち、そして金の林檎の探索に関わるアドメーテーという姉妹を持っていました。ヘーラクレースがこの世を去った後、彼の血筋であるヘーラクレイダイたちは、父祖の地であるミュケーナイへの帰還と王位の奪還を目指してエウリュステウスに戦いを挑みました。この戦いにおいて、ペリメーデースは父エウリュステウスや兄弟たちと共にミュケーナイ側として戦いました。しかし、戦況はエウリュステウスとその一族にとって不利に進み、最終的に彼は父や多くの兄弟たちと共に戦死したと伝えられています。

トロイア人
さらに、トロイア戦争に関わった人物の中にもペリメーデースという名前の人物がいます。彼は、トローアス地方にある都市クリューサ近郊、特にアポローン・スミンテウスの聖域の近くに住んでいたトロイア人でした。ホメロスの叙事詩『イリアス』などで語られるように、トロイア戦争はアカイア勢（ギリシア側）とトロイア勢の間で十年にもわたって繰り広げられた大規模な戦いでした。ペリメーデースは故郷トロイアを守るため、アカイア勢の侵攻に対して戦いましたが、戦場で命を落としました。特に彼は、アカイア側の強力な戦士であるネオプトレモスによって討ち取られたとされており、その際にケストロス、パレーロス、ペリラーオス、そしてメドーンの息子メナルケースといった他のトロイアの戦士たちも共にネオプトレモスの犠牲になったと記録されています。

その他の伝承に登場する人物
上記以外にも、この名前を持つ人物がいくつかの神話伝承に見られます。例えば、トロイア戦争においてギリシア側、特にポーキス地方の部隊を率いた武将スケディオスの父親の名もペリメーデースであったとされています。また、ホメロスの叙事詩『オデュッセイア』には、漂流する主人公オデュッセウスに忠実に仕えた部下の一人としてペリメーデースが登場します。さらに、オデュッセウスの不在中に彼の妻ペーネロペーに言い寄った多くの求婚者の中にも、サメー島出身のペリメーデースという人物がいたことが伝えられています。これらの例は、ペリメーデースという名前が古代ギリシアにおいて比較的普及していた可能性を示唆していますが、それぞれの人物に関する詳しい情報は限られています。

もう一度検索