スズキ・イナズマ

スズキ イナズマ：1990年代を彩ったスズキのスポーツバイク

スズキがかつて製造販売していたオートバイシリーズ「イナズマ」は、1990年代後半、スズキ・バンディットシリーズの後継として登場しました。400cc、750cc、1200ccの3つの排気量で展開され、力強い走りや充実した装備が特徴的なモデルとして人気を集めました。しかし、2000年以降はバンディットシリーズの復活に伴い生産終了となりました。

イナズマ400 (GSX400FS)

1997年に発売されたイナズマ400は、750ccクラスの油冷エンジンをベースにボアストロークを縮小することで400ccにスケールダウンしたエンジンを搭載。この油冷エンジンは、GSFシリーズや初期GSX-Rシリーズで高い評価を得ており、イナズマ400でもその力強いフィーリングを受け継いでいました。

さらに、ブレンボ製の対向4POTキャリパーやカヤバ工業製のサスペンションなど、高品質なパーツを標準装備。ワイドサイズのリアタイヤを採用することで、400ccとは思えないビッグバイクのような安定感と乗り味を実現していました。普通二輪免許でこの走りを堪能できる点が大きな魅力でした。

後期モデルでは、排気ガス規制に対応するため、スロットルポジションセンサーと触媒が追加されています。

イナズマ1200 (GSX1200FS)

1998年に発売されたイナズマ1200は、GSX750のフレームをベースに、パイプの肉厚化による強化を施し、SHOWA製のサスペンションやブレンボ製のブレーキキャリパーなど、豪華な装備を備えていました。

搭載されているエンジンは、GSX-R1100の油冷エンジンを改良したもので、1200ccの大排気量から生み出される圧倒的なパワーとトルクは、ライダーに強烈な加速感と爽快な走りを提供しました。その動力性能に見合う、高い走行性能と安定性を両立させていました。

GSX750

750ccモデルのGSX750は、1998年に発売されました。国内市場では販売されませんでしたが、シリーズ全体のベースモデルとして重要な役割を果たしていました。ワイヤー式のクラッチやCVK32キャブレター（燃料ポンプなし）、センタースタンドの標準装備など、400ccや1200ccモデルとは異なる特徴も持っていました。フロントサスペンションのインナーチューブ径は43mm、リアサスペンションはショーワ製、フロントブレーキキャリパーはトキコ製と、各部で独自の仕様が採用されていました。

イナズマシリーズの終焉

イナズマシリーズは、2000年以降に販売を終了しました。力強い油冷エンジン、質の高い足回り、そして充実した装備によって、多くのライダーを魅了したイナズマ。その存在は、スズキの歴史において重要な1ページを刻んでいます。現在では中古市場でしか出会うことができませんが、その魅力は色褪せることなく、多くのファンを惹きつけています。

参考情報

ウェイバックマシンによる過去の製品情報ページ
スズキ公式による当時のニュースリリース

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