スズキ・XL7

スズキ XL7：3列シートSUVの歴史

スズキXL7は、海外市場を中心に展開されている3列シートのSUVです。その歴史は、初代モデルが1998年に登場したことに始まり、モデルチェンジを経て、現在ではクロスオーバーSUVとして販売されています。この記事では、XL7の各世代の特徴や歴史、モータースポーツでの活躍について詳しく解説します。

初代 XL-7 (1998年 - 2006年)

初代XL-7は、1998年に登場しました。このモデルは、2代目エスクードをベースにホイールベースを延長し、3列シートを搭載したSUVとして開発されました。エンジンには、2.7LのV型6気筒エンジンが搭載され、力強い走りを実現しました。この世代のみ、車名にハイフンが含まれる「XL-7」という表記が用いられています。

2000年には、日本国内で「グランドエスクード」という名前で販売されましたが、日本への導入はこの初代モデルのみとなりました。

2代目 XL7 (2006年 - 2009年)

2代目XL7は、2006年に登場しました。このモデルから車名が「XL7」とハイフンなしの表記に変更されました。2代目は、GMのシータプラットフォームを採用しており、シボレー・エクイノックスなどと兄弟車関係にあります。駆動方式はFFベースとなり、エンジンは3.6LのV型6気筒エンジンが搭載されました。トランスミッションは5速ATで、マニュアルモードも搭載されています。

初代モデルと比較して、全長は30cm、全幅は5cmほど拡大され、より大型で迫力のあるスタイリングとなりました。2007年からはカナダのCAMIオートモーティブで生産が開始されましたが、エンジンは日本国内の相良工場で製造されました。

しかし、原油価格の高騰や世界金融危機の影響により、大型車の販売が不振となり、XL7の販売台数も大幅に減少しました。これにより、スズキは2008年にXL7の生産を休止し、2009年には生産拠点であったCAMIオートモーティブの全株式をGMが取得したため、XL7の生産は事実上終了しました。

3代目 XL7 (2020年 - )

約11年の時を経て、2020年に3代目XL7が発表されました。このモデルは、スズキのインドネシア子会社であるスズキ・インドモービル・モーターが発表し、2代目エルティガをベースに開発されました。フロントフェイスが刷新され、フェンダーモールなどSUVらしいデザインが施され、3列シート7人乗りモデルとして復活しました。

このモデルは、クロスオーバーSUVとして、MPVの利便性とSUVの力強さを兼ね備えています。エンジンは1.5Lガソリンエンジンにダウンサイジングされましたが、出力とトルクは向上しています。トランスミッションは、4速ATと5速MTが設定され、プラットフォームには軽量・高剛性設計の「HEARTECT（ハーテクト）」が採用されています。

生産はインドネシアのチカラン工場で行われ、今後はアジア地域や中南米にも輸出される予定です。2023年には、タイのカー・オブ・ザ・イヤーでアワードを受賞しました。

モータースポーツでの活躍

XL7は、モータースポーツの世界でも活躍しています。2006年には、パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムに参戦し、エスクードの後継として選ばれました。外観は市販モデルの面影を残しつつも、中身は全くの別物で、軽量なパイプフレームシャシーにツインターボで過給された3.6LのV6エンジンをミッドシップに搭載した、四輪駆動のマシンでした。このマシンは、歴代のスズキのパイクスピーク用マシンの中で最大級の馬力とトルクを誇り、1,000psを超えています。

2007年のパイクスピークでは、四輪車部門の最後にスタートした田嶋伸博が、10分1秒408で完走し、13年ぶりにコースレコードを更新しました。この記録は、パイクスピークの歴史に名を刻む偉業となりました。

まとめ

スズキXL7は、3列シートSUVとして、その歴史の中で様々な変化を遂げてきました。初代から最新モデルまで、それぞれの時代のニーズに合わせた進化を続け、モータースポーツの世界でも輝かしい実績を残しています。これからも、XL7はスズキの重要なラインナップとして、世界中の人々に愛され続けることでしょう。

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