スタウリコサウルス

スタウリコサウルスの概要

スタウリコサウルス（学名：Staurikosaurus）は、三畳紀中期にブラジルに生息していた小型の獣脚類恐竜です。この恐竜は、特に南半球で見える星座である南十字星の名前に由来した学名が特徴的です。スタウリコサウルスは、エオラプトルやヘレラサウルスなどと並び、最初期の恐竜のひとつとして知られています。

発見の経緯

スタウリコサウルスの化石は、1970年にブラジル南部のヒオ・グランジ・ド・スウ州のサンタマリア累層で発見されました。当時、南半球での恐竜発見例は非常に少なかったため、この化石の発見は大きなニュースとなりました。発見時の研究はアメリカ自然史博物館で行われ、エドウィン・ハリス・コルバートによって記載されました。

特徴と生態

スタウリコサウルスは、三畳紀中期のカール期（約2億3,100万年〜2億2,500万年前）に生息していました。この恐竜は、体長が約2.1メートル、尾の長さは80センチメートル、体重は約30キログラムであり、メガロサウルスなどの後代の獣脚類に比べて非常に小型です。肉食であることを示す歯や体形を持っていますが、特異な頭骨の形状から、研究者の中には竜脚形亜目に分類する意見もあります。

スタウリコサウルスは、獣脚類と竜脚形類の進化的過程において重要な役割を果たしている可能性があり、化石記録は不完全ですが、古代の恐竜の特徴を示す貴重な資料です。手足は5本の指を持ち、脚の骨格は迅速な走行に適していたと考えられています。また、背骨の一部にあたる仙椎は2つしか癒合しておらず、さらに原始的な特徴を有しています。

下顎の構造により、前後左右に動かせる顎関節を持っていたため、小さな獲物を捕らえやすかったとされています。当時の獣脚類では一般的に見られる特徴ですが、その後の獣脚類ではこの特徴が失われていくことになります。

分類と関連種

スタウリコサウルスは竜盤目に属し、獣脚亜目とされますが、この分類には論争も存在します。スタウリコサウルス科（Staurikosauridae）に分類されることが多く、コルバートによって記載された原種S. priceiが知られています。この種名は、コルバートの同僚である古生物学者リュウェリン・アイヴァー・プライスにちなんで名付けられました。

また、スタウリコサウルス科には他にも関連種があり、例えば1985年に名付けられたキンデサウルス・ブリアンスマリ（Chindesaurus bryansmalli）などがあります。これらの種はアリゾナやニューメキシコで発見され、スタウリコサウルス科が広く生息していたことを示唆しています。スタウリコサウルスの化石は、当時の恐竜の進化に関する貴重な知見を提供しており、古生物学の研究において重要な位置を占めています。

まとめ

スタウリコサウルスは、三畳紀中期の重要な恐竜であり、その化石は古代の生態系の理解を深める上で欠かせない存在です。南半球での珍しい恐竜の発見として、その命名の由来や特徴、生態的な意義についての研究が今も続けられています。

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