スタサンドロス

スタサンドロスの生涯と業績

スタサンドロス（Στάσανδρος）は、紀元前4世紀に生きたマケドニア王国の家臣であり、ディアドコイの一人として知られています。彼はキュプロス出身であり、アレクサンドロス3世（大王）の時代には目立った活動を行っていなかったため、彼の人生の初期についての詳細はほとんど不明です。しかし、アレクサンドロスの死後に起こった事件を通じて彼の存在が明らかになります。

紀元前321年、スタサンドロスはトリパラディソスで行われた軍会で、アレイアとドランギアナの太守に任命されました。この軍会は、アレクサンドロスの後を継ぐ統治者たちが自分たちの権力を確立するために開催されたもので、スタサンドロスもその一員として参与したのです。

しかし、彼の運命はその後の混乱によって大きく揺らぎました。紀元前317年、メディアの太守ペイトンが、パルティアの前の将軍フィロタスを処刑し、その地位に弟エウダモスを据えたことにより、他の太守たちは自身の安全を脅かされることになりました。スタサンドロスを含む東方の太守たちは、ペイトンに対抗するために連合を組み、彼を打ち破りました。

また同じ年、スタサンドロスはアンティゴノスとエウメネスの戦いにおいて、他の東方の太守たちと共にエウメネス側に立ちました。彼は自領とバクトリアから1500人の歩兵と1000人の騎兵を率いて戦場に向かい、特にパラエタケネとガビエネの戦闘では騎兵部隊を指揮しました。しかし、ガビエネの戦いの後に味方が裏切った結果、エウメネスはアンティゴノスの手に引き渡されることとなり、スタサンドロスの所領もアンティゴノスの支配下に入ることとなりました。

アンティゴノスは、元々スタサンドロスの所領であったアレイアを最初にエウイトスに与えましたが、エウイトスが間もなく死亡したため、彼はエウアゴラスを新たな太守に任じました。ここでスタサンドロスは権力を失い、彼のその後の運命については記録が残っていないため、不明なままです。

スタサンドロスの活動は、古代マケドニアの歴史の中で重要な位置を占めており、戦争や権力争いといった激動の時代における家臣の役割を示しています。彼の事例は、当時の政局の厳しさを物語るものであり、また、ディアドコイたちの後継争いがどれほど激烈であったかを物語っています。

歴史的文献、特にディオドロスの『歴史叢書』におけるスタサンドロスの記述は、彼の活動についての貴重な情報源となっています。彼の名はサブスタンスよりも運命の波に翻弄された印象が強いですが、その意思や行動は、彼の時代の執権者たちの権力と連携のあり方を考察するうえで重要な視点を提供します。

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