スタジオダブ

スタジオダブ（BNPいわきスタジオ）の歴史：アニメーションを支える技術と情熱

スタジオダブは、日本のアニメーション業界において長年にわたり、作画制作の中核を担ってきた会社です。現在はバンダイナムコピクチャーズ傘下に入り、『BNPいわきスタジオ』として知られていますが、その歴史は手塚治虫に憧れたアニメーター、八幡正氏の情熱から始まりました。

八幡氏は、電機メーカー勤務からアニメーターへと転身し、虫プロダクションに入社します。しかし、1972年の虫プロダクション倒産を機に、サンライズスタジオ（現：バンダイナムコフィルムワークス・サンライズ）へと移り、多忙な日々を送ります。その中で体調を崩した八幡氏は、福島県いわき市で静養生活を送ることとなります。

しかし、いわき市での静養生活の中でも、八幡氏のもとには仕事の依頼が絶えませんでした。その手伝いのため、仕事仲間もいわき市へと集まるようになり、1983年、八幡氏は「スタジオダブ」を設立します。

スタジオダブは設立当初から、サンライズ制作作品における作画拠点として重要な役割を果たしました。サンライズ作品への参加を軸としながらも、東映アニメーション作品や、かつてはXEBECの作品にも参加するなど、幅広い制作実績を誇ります。

スタジオダブは、日本のアニメーション制作の技術革新にも貢献してきました。1999年には「有限会社アーク・クリエイション」を設立し、デジタル仕上げ（彩色）業務に進出。ペンタブレットによるデジタル作画の導入も積極的に行い、デジタル技術を積極的に取り入れることで、制作効率の向上とクオリティの維持を実現しました。

2019年には、社名変更と同時に、長年の取引先であったサンライズの子会社、バンダイナムコピクチャーズに経営権を譲渡。ブランド名を『BNPいわきスタジオ』に変更しましたが、法人名や海外スタジオはそのまま引き継がれ、現在も「ダブ」ブランドは使用されています。

海外展開にも積極的に取り組んでおり、東京スタジオに加え、韓国（ソウルダブ）、中国（上海ダブ）、ベトナム（スタジオダブサイゴン）にも拠点を展開しています。海外スタジオの人材育成には、日本からスタッフを派遣するなど、技術指導にも力を入れています。

参加作品

スタジオダブは、数多くのアニメーション作品に携わってきました。その作品リストは実に多岐に渡り、長年に渡り日本のアニメーション文化に貢献しています。代表的な作品としては、

テレビアニメ: 『太陽の牙ダグラム』、『戦闘メカ ザブングル』、『装甲騎兵ボトムズ』、『機動戦士Ζガンダム』、『機動戦士ガンダムΖΖ』、『シティーハンター』、『名探偵コナン』、『勇者シリーズ』、『ガンダムシリーズ』、『デジモンシリーズ』、『プリキュアシリーズ』など、数多くのシリーズ作品に参加。
劇場アニメ: 『AKIRA』、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』、『クレヨンしんちゃん』シリーズなど、人気劇場アニメ作品にも多数参加。
OVA: 『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』、『装甲騎兵ボトムズ』シリーズなど、OVA作品にも貢献。
Webアニメ: 近年ではWebアニメ作品への参加も増えています。
ゲーム: 『テイルズ オブ ザ レイズ』、『プリンセスコネクト!Re:Dive』など、ゲーム制作にも携わっています。

これら以外にも、多くのアニメ作品に携わり、日本のアニメーション制作を支えてきました。

まとめ

スタジオダブ（BNPいわきスタジオ）は、創業以来、日本のアニメーション業界に多大な貢献をしてきました。八幡正氏の情熱から始まり、数々の困難を乗り越え、デジタル技術の導入や海外展開など、常に進化を続けています。これからも、その技術力と情熱で、日本のアニメーション文化を支え続けることでしょう。

参考文献

『アニメーションノート No.03』（誠文堂新光社 2006年）

関連情報

バンダイナムコフィルムワークス
サンライズ
* バンダイナムコピクチャーズ

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