スタッカート (音楽)

スタッカート（staccato）は、音楽におけるアーティキュレーションの一つで、「切り離された」という意味のイタリア語に由来します。現代の楽譜では、スタッカートは音符の本来の長さを短く演奏し、残りの時間を無音にすることで音符同士を分離する演奏技法を指します。この技法は、遅くとも17世紀後半には楽曲の中に登場しています。

表記

20世紀以降、楽譜上では音符の上または下に点を配置することで、その音符をスタッカートで演奏することを示します。より強調したスタッカート（スタッカーティシモ）を指示する場合には、楔形の記号が用いられます。18世紀には、スタッカートの度合いを区別するために、点とダッシュを使い分けるという考え方もありました。ダッシュはより短く鋭いスタッカートを、点はより長く軽いスタッカートを表すというものです。ただし、19世紀以前の楽譜では、点、ダッシュ、楔形の記号が同じ意味で使われることもありました。

19世紀後半から20世紀初頭にかけては、スタッカートの微妙なニュアンスを区別するために、点、垂直および水平のダッシュ、垂直および水平の楔形記号など、様々な記号が用いられましたが、これらの記号を標準化する試みは必ずしも成功しているとは言えません。

スタッカート記号がどの音符に適用されるかについては、例えば、複数の音が符幹を共有している場合は、それら全てにスタッカートが適用されます。一方、符幹を共有しない場合は、スタッカート記号が付いている音符のみに適用されます。

スタッカートの反対のアーティキュレーションはレガートで、音を長く連続して演奏することを意味します。また、その中間的な奏法として、メゾスタッカート（ノンレガート）と呼ばれるものも存在します。

楽譜作成プログラムのSibeliusでは、スタッカートは音符の演奏時間を50%短縮する設定となっています。

スタッカーティシモ

スタッカーティシモ（staccatissimo）は、音符を特に分離して演奏することを指示するもので、スタッカートよりもさらに強調された演奏を表します。記譜では、音符の上または下に先の尖った線で示されます。この記号は符幹の向きによって上下が決定します。また、「staccatissimo」という単語や、略語「staccatiss」を楽譜上に書き込むことでも表現できます。作曲家によっては、モーツァルトのように、あるフレーズ全体をスタッカーティシモで演奏させたい場合に、通常のスタッカート記号と文字による指示を併用することもあります。

関連項目

• - グリッサンド
• - レガート
• - マルカート
• - ポルタート
• - スラー

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