スタッドリー王立公園

スタッドリー王立公園：歴史と美が織りなす世界遺産

イングランド北部のノースヨークシャー州に位置するスタッドリー王立公園は、1986年にユネスコの世界遺産に登録された、歴史と自然が融合した魅力的な場所です。その中心となるのは、12世紀に創建されたシトー会ファウンテンズ修道院の廃墟です。壮麗な修道院の跡は、中世の宗教建築を知る上で貴重な資料となっています。

修道院からウォーターガーデンへ：変遷の歴史

1132年、13人のベネディクト会修道士によって創建されたファウンテンズ修道院は、後にシトー会に改宗しました。しかし、1539年のヘンリー8世による修道院解散令によって、修道院は没収され、その後、幾多の所有者の手を渡ります。

17世紀には、ファウンテンズ・ホールというエリザベス朝様式の邸宅が、修道院の建材を再利用して建造されました。現在も一部が公開されており、当時の建築技術の高さを垣間見ることができます。

1693年、ジョン・エイズラビーがスタッドリーの地所を相続すると、壮大なウォーターガーデンの建設が始まりました。1718年から造園が始まり、彼の没後も息子のウィリアムによって拡張されました。ウィリアムは、父親とは異なるロマンティックな様式を取り入れ、美しい湖や水路、滝などを創出。18世紀イングランドを代表する水生植物園として知られています。

エイズラビー家からヴァイナー家へと地所が受け継がれ、幾度の変遷を経て、1966年にはウェストライディング州議会、1983年にはナショナル・トラストの管理下に置かれました。

見どころ：歴史と美の融合

スタッドリー王立公園の見どころは、修道院とウォーターガーデンだけではありません。

スタッドリー王立ウォーターガーデン

ジョージ朝時代のウォーターガーデンの傑作として名高いウォーターガーデンは、優雅な湖、水路、神殿を模した建造物、滝などが織りなす美しい景観が魅力です。ネオゴシック様式の城やパッラーディオ様式の宴会場といった建造物も存在し、歴史と芸術の調和を感じさせます。

セント・メアリー教会とシカ公園

シカ公園内にあるセント・メアリー教会は、後期ヴィクトリア朝様式を代表する建築物です。フレデリック・ヴァイナーを悼んで建てられたこの教会は、著名な建築家ウィリアム・バージェスの作品としても知られています。500頭ものシカが生息する広大なシカ公園は、中世以来の歴史を持ち、かつて王家の邸宅があった場所でもあります。

ファウンテンズ修道院の粉挽き場

12世紀にシトー会修道士によって建造された粉挽き場は、敷地内最古の建造物として、当時の技術の高さを物語っています。

世界遺産としての価値

スタッドリー王立公園は、「人類の創造的才能を表現する傑作」そして「人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例」として、世界遺産に登録されています。歴史、建築、自然が一体となったこの公園は、訪れる人々に忘れられない感動を与えてくれるでしょう。

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