スタンドイン攻撃兵器

スタンドイン攻撃兵器（Stand-in Attack Weapon, SiAW）は、アメリカ空軍がノースロップ・グラマン社に開発を委託している最新鋭の空対地ミサイルです。敵の防空網を突破し、重要な目標を精密に攻撃することを目的として設計されています。

開発経緯

2022年5月、アメリカ空軍はSiAWの開発競争において、L3ハリス・テクノロジーズ、ロッキード・マーティン、ノースロップ・グラマンの3社を選定し、開発の第1フェーズを開始する契約を締結しました。そして2023年9月28日、ノースロップ・グラマンが開発と試験を行う契約を7億500万USドルで獲得し、開発が本格的にスタートしました。

性能と特徴

SiAWは、短距離弾道ミサイル発射装置、巡航ミサイルおよび対艦ミサイル発射装置、GPS妨害プラットフォーム、対衛星システムなど、移動目標への攻撃能力を持つことが特徴です。敵の空域への侵入後に航空機から発射される運用を想定しているため、長距離からの攻撃を目的としたスタンドオフ兵器と比較して射程距離は短く設計されています。

SiAWは、F-35A戦闘機の機内兵器倉（ウェポンベイ）への格納を考慮して設計されており、ステルス性を維持したまま運用できることが期待されています。また、アメリカ海軍が開発中のAARGM-ER（先進対レーダー誘導ミサイル - 射程延伸型）の研究成果が設計に取り入れられており、高い命中精度と生存性が期待されます。

アメリカ空軍は、SiAWの初期作戦能力（IOC: Initial Operational Capability）を2026年までに獲得することを目指しており、将来の航空戦力の中核を担う兵器として期待されています。

従来のミサイルとの違い

スタンドイン攻撃兵器は、敵の防空網が厳重に敷かれた空域に侵入し、近距離で目標を攻撃することを想定しています。従来のスタンドオフ兵器のように長距離からの攻撃に頼るのではなく、敵の防空システムを直接破壊または無効化することで、航空機の安全な侵入経路を確保し、作戦の成功率を高めることを目的としています。このアプローチは、近年高度化する防空システムに対抗するための重要な戦略と考えられています。

今後の展望

SiAWの開発は、アメリカ空軍の将来の航空戦力において重要な役割を果たすと考えられています。敵の防空網を突破し、重要な目標を攻撃することで、アメリカ軍の作戦遂行能力を大幅に向上させることが期待されています。今後の開発の進展と実戦配備が注目されます。

参考文献
* 米空軍 まさか“近接戦”特化型ミサイルの実験に成功 長距離攻撃じゃダメな理由とは（乗り物ニュース）

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